11月3日に行われたワシントン州の選挙では、ジェイ・インスリー州知事が3選を決めたほか、州議会で長年にわたり活躍を見せるボブ・ハセガワ上院議員、シャロン・富子・サントス下院議員といった地元日系政治家たちも順当に再選した。
ワ州上院議会の与党となる民主党は先月、ハセガワ上院議員が民主党幹部のトップに選ばれたと発表した。2004年の選挙で下院議員に選出され、12年選挙で上院へ。サントス下院議員も在歴20年以上になる。着実に地元政治の重鎮として名を刻んでいる。
選挙関連として、シアトル・タイムズで興味深い記事を見つけた。今年の大統領選挙では長年共和党の州だったアリゾナ、ジョージア両州で民主党が僅差で勝利を収めた。マイノリティーの投票率といった要因に加え、東海岸、西海岸から移住した人々が新たなコミュニティーを形成し、選挙情勢に変化をもたらしたとの見方もある。
シアトル・タイムズ紙によると、2017年から19年にかけてアリゾナ州へ他州から移り住んだ有権者の人数は、最も多いカリフォルニア州の15万106人に次いでワシントン州が4万3091人で2番目だった。移住した4万人における支持政党の把握はできないが、半数以上はシアトル地域からの移住者という。
州外に移住する選択肢には、1位のカリフォルニア州、2位のオレゴン州に続き、わずかに及ばず3位にアリゾナ州が入るという。冬の寒さや鉛色の空模様、雨を避けるため、あるいは純粋に仕事や退職後の生活と、移住の理由は多々あるだろう。アリゾナ州は大リーグの春キャンプの開催地で、同地に住居を構えてオフを過ごすマリナーズ選手もいる。長期出張をしてきたこの数年で、筆者にとっても身近な州になりつつある。
こうした動きはアリゾナ州のみならず、ワシントン州も同じだろう。他州へ移り住む人々がある一方で、シアトル地域では新たな人口を増やし、着実に社会変化をもたらしている。選挙に影響を与えるほどの人の動きと変化に米国らしさを見ることができるかもしれない。
(佐々木 志峰)