Home コラム 一石 5年の歳月〜一石

5年の歳月〜一石

By 佐々木志峰

気が付けば、あれから5年が経った。2020年3月11日。世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症のパンデミックを宣言した。

自宅と出張地を慌ただしく行き来していた当時。パンデミック宣言が出されたのも、出張に出たばかりの頃。社会の動きが一気に止まり、不安に駆られながら仕事の対応を続けていた。現場撤収が決まって帰宅準備をすると、飛行機のチケットは激安だった。周りに乗客のない、空席だらけの便で帰宅。当時の本コラムを読み返してみると、「新型コロナウイルス」という単語が毎号のように出てきていた。

ワクチンの接種はそれから約1年後だった。21年の4月。接種を受けて施設内で待機し、それから外に出た時の光景が記憶に焼き付いている。大きく気持ちが和らいだ瞬間。その後は副反応の高熱に悩まされたが、このことはあまり良く覚えていない。当時の原稿は「晴天の一日とともに、社会が大きく蘇る感覚を覚えずにいられなかった」と記している。

実際、筆者も新型コロナウイルスに感染した一人。検査で陽性反応が出たのは2度。出張などが入る直前で、仕事にも影響が出た。自覚のある後遺症はなく、健康を保ち続けられているのは幸いだ。
シアトル・タイムズ紙によると、米疾病予防管理センター(CDC)のデータでワシントン州の新型コロナウイルスによる死者数は昨年627人。前年から35%減で、死因としては13番目。インフルエンザや肺炎よりも下回った。パンデミックの初年だった20年の死者数は3284人で、死因としては4番目。またピークとなった21年は5451人、死因で3番目だった。

現在も感染は続いており、公共機関の懸念となっていることは確か。新型コロナウイルスに及ばず、さまざまな防疫対策として街でマスクを着用する人々をよく見かける。買い物客で賑わう店内、そして空港など。

春になり、花粉なのか目にかゆみを覚える。そして、この原稿の執筆中にはのどに痛みも。うがい、そしてお茶を飲みながら殺菌を図り、違和感は緩和された。現場で突然倒れた同業者がいたことを知らされたばかり。とにかく免疫を保つことが大切。この5年で得た経験、意識を変えずに日々過ごしていきたい。