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熱くなるシアトル〜一石

By 佐々木 志峰

シアトルが熱い夏を迎えた。発信地はマリナーズの本拠地球場Tモバイル・パーク。

アジア人として初めて米国野球殿堂入りを果たしたイチローさん。地元マリナーズは8月9日に、背番号51を永久欠番とするセレモニーを催した。また、シアトル市は2025年8月9日を「イチロー・デー」とする発表を行った。

Photo credit: Jack Ellis / Seattle Mariners

あふれる祝福の数々に加えて、チームも最高のパフォーマンスを披露。レジェンドの功績を讃える地元6試合を全勝で飾った。イチロー・ウィーク最終日の10日は「ジャパニーズ・ヘリテージ・デー」として、ワシントン州日本文化市民会館のカート・トキタ会長とカレン・ヨシトミ事務局長が始球式に参加。「野球」とのつながりが深い地元日系社会にとっても記憶に残る行事となったに違いない。 特に印象的だったのが、球場の熱狂ぶりだった。総立ちで大歓声を送り、見知らぬ隣の観客とハイタッチを交わす。式典の場から見上げた観客席、そしてファンと一緒に観戦した試合の雰囲気。「特別な空気」とイチローさんが評するほどだった。鮮烈なデビューイヤーで旋風を起こし、シアトルが「イチローフィーバー」で沸き返った2001年頃の思い出を蘇らせる人々もいたのではないだろうか。

当時の球場は連日満員で埋め尽くされ、観客数はシーズン350万人に達していた。長年の低迷で動員力は落ち、21年ぶりにポストシーズンへ進出した22年でも228万人あまりだった。この数年は1試合平均3万人を上回っているが、まだまだ。「野球が盛り上がるとめちゃくちゃ熱くなる。すごい特徴的な場所」とはイチローさん。シアトルらしく沸き返ってほしい。

野球のメジャーリーグに歴史を刻んだイチローさんの足跡を改めて記す必要はないだろう。引退後もフィールドに姿を見せ、チームのサポートを続けている。背番号51番が球場に永久欠番として飾られ、来年には銅像が建つ。「改めてシアトルは米国の僕のホームだなと、とても暖かい気持ちになった」。日本と米国、シアトル、そしてコミュニティー。長く大きな懸け橋となってもらっていることに感謝したい。