Home ニュース スポーツ イチロー、大リーグ3千本安...

イチロー、大リーグ3千本安打 シアトルから積み重ねた1本1本 「忘れられない瞬間、特別な思い

ついにその時を迎えた。マイアミ・マーリンズのイチロー外野手(42)は7日、コロラド・ロッキーズ戦で先発出場、第4打席で三塁打を打ち、大リーグ通算3千本安打の金字塔を打ち立てた。240年を誇る長いリーグ史の中でも記録達成者はわずか29人。イチロー選手で30人目となる。

イチロー選手が大リーグ選手としてのスタートを切ったのがシアトルだった。2000年、マリナーズと契約を結び来米。近年まで多くの日本人選手が活躍を見せてきた大リーグだが、当時は野手として初の日本人選手だった。

当時を振り返り、宇和島屋のトミオ・モリグチ会長は「イチローは、日本では有名だったかもしれませんが、米国ではそれほど有名ではなく、当時彼に注目していた人はほとんどいませんでした」と話す。

大方の予想に反し、イチローは驚くべき功績をあげる。1年目にリーグ新人最多安打記録を更新、ア・リーグの新人王・最優秀選手賞・首位打者・盗塁王・シルバースラッガー賞・ゴールドグラブ賞の同時受賞を史上初めて達成した。2004年には1シーズン安打数のリーグ記録を更新。首位打者も合わせて2度輝いた。その後不調に苦しむこともあったが、着実に1安打を積み重ねていった。

12シーズン所属したマリナーズでの安打数は2533本。オールスター10度出場、ゴールドグラブも

10度獲得した。マリナーズのハワード・リンカーンCEOはイチローの計り知れない貢献をたたえ、「シアトルの街、そしてノースウエストのファンに忘れられない瞬間や特別な思い出を与えてくれました」と語った。

日米問わず多くから賞賛が相次いでいるが、イチローの大きな影響は野球界にとどまらない。バーバラ・ミゾグチさんは「イチロー選手の活躍を経て、日本に興味を持つ米国人や日本語を学ぼうとする米国人がシアトルでたくさん増えました。また多くの日本人がシアトルを訪れるようになりました」と話し、イチローが日米関係においても大きな役割を果たしたと語る。

記録や成績のみならず、ひたむきに努力を続ける姿勢などで影響を与えているイチロー選手。近年は出場機会が限られているが、それでも打率・317(7日現在)と好成績を維持している。今後、どこまで走り続けるのか、次はどのような記録を達成するのか目が離せない。

◇ ◇ 

イチロー選手が3千本安打を記録する直前には、地元セーフコフィールドでマリナーズの人気選手で殿堂入りしたケン・グリフィー・ジュニア氏の記念イベントが行われた。背番号「24」は永久欠番となり、週末に行われた関連行事に多くのファンが球場に足を運んだ。チームは好調で白星を重ねており、プレイオフ出場枠に食い込んでいる。

また同世代選手としてはマリナーズ出身でニューヨーク・ヤンキースのアレックス・ロドリゲス選手が7日、現役引退を発表している。

(竹田 優香)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。