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輝く光景〜一石

By 佐々木 志峰

最近目にした二つの光景に勇気づけられた。

まずスタンフォード大学の一年生、佐々木麟太郎選手。米国大学野球のシーズンが今月14日にスタートした。中心打者の一人として先輩らに負けない立派な体格を生かし、迫力ある打撃を見せている。大谷翔平選手や菊池雄星選手を輩出した岩手県の花巻東高校を卒業し、超一流大学での文武両道を目標に渡米。厳しい勉学との両立を図りながら、力強く人生を歩んでいる。

プロバスケットボールNBAのオールスター戦も同じく今月半ばにあり、それに付随する形でNBAの下部組織であるGリーグもオールスター戦が行われた。同リーグでプレーする河村勇輝、富永啓生両選手が出場し、大勢のファンが詰めかけた会場で鮮やかなプレーを披露した。

河村選手は身長5フィート8インチ(約173センチ)。2メートルを優に超え、身体能力で圧倒する選手ばかりがそろう中でひときわ目立つ小兵ぶり。「柔よく剛を制す」という言葉を体現するようなプレースタイルも相まって、所属チームの本拠地メンフィスで高い人気を誇る。今回のオールスター戦もファン投票で見事1位。外国人選手と比べどうしても体格で劣ることの多い日本選手だが、その厳しい環境下でも戦えることを「証明したい」との大志を抱き、もう一段上となるNBA定着を目指す。

世界最高峰のバスケットボールリーグではかつてワット・ミサカというユタ州出身の日系二世の選手がプレーした。人種の壁を打ち破り、初の非白人選手となったことで知られる。出場機会はわずかしかなかったが、野球であらゆる人種に門戸を開いたアフリカ系アメリカ人のジャッキー・ロビンソンがドジャースに入団(当時ブルックリン)した1947年と同じ年のことだった。第二次世界大戦下にあった大学時代の活躍がよく知られ、強制退去を受けて収容所生活を送る日系人たちにとって希望の一つとなったという。

若き日本選手たちの活躍を目にし、間もなく迎えた2月19日は「デイ・オブ・リメンブランス」。第二次世界大戦の日米開戦によって、その後の日系人強制退去につながることになった大統領令9066号が署名された日。1942年のことだった。今年は終戦から80年。日本から海を渡り、目前に広がる壁を越えていこうとする若者の姿が、いつもよりさらに輝いて見えた。