Home コラム 一石 野球伝来150年

野球伝来150年

 米国で「国民的娯楽」とされるベースボール。今年は日本に野球が伝来して150年になる。ロサンゼルスで行われた6月15日のドジャースとエンゼルスの試合では「ジャパニーズ・ヘリテージ・ナイト」として、その節目が祝われた。

 6月半ばの週末には、投打の二刀流で大活躍の大谷翔平選手擁するロサンゼルス・エンゼルスが遠征でシアトルを訪れた。1試合目で二刀流出場。マリナーズ打線を抑えて勝ち投手となり、その後の4試合で打者として3試合をプレー。存在感は抜群だった。

 昨季の歴史的な活躍に続き、今季も一挙手一投足でますます注目を集めている。プレーをするたびに何かしらの記録が作られる。日本に野球が伝来して1世紀と半ば。日本から米国に渡った二刀流の姿は、見る側にとってこれ以上ないスポーツの「娯楽」となっている。マリナーズとエンゼルスは、8月5日から7日にもシアトルで4試合を戦う。

 日系社会と野球の歴史も深い。7月4日独立記念日の週末には、地元で結成された野球チーム同士で集うのが、当地日系社会の恒例行事だったと聞く。ワ州日本文化会館(JCCCW)の展示会などで、壮観な集合写真を目にしたことがある。

 ワシントン大学のデジタルアーカイブには、地元日系野球チームが1921年に早稲田大学の遠征チームと試合を行った写真も残る。場所は市内レーニアバレーで、現在史跡となっているシックス・スタジアム。第二次世界大戦の収容所生活でもベースボールは大きな支えとなった。荒野に野球のフィールドを作り、各収容所でチームが結成された。

 日系関係者の大リーグでの貢献も忘れてはならない。マリナーズには球団各部署に日系関係者の名前が散見される。なんと言っても、会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチローさんの存在は大きい。

 チームは8月にイチローさんの球団殿堂入りを祝う週末イベントを開く。同27日の試合前に式典。そして翌28日は「ジャパニーズ・ヘリテージ・デー」を予定。イベントを通じてチケットを購入すると、収益の一部がJCCCWに寄付されるという。

     (佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。