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イチロー氏の球団殿堂入り〜一石

 米大リーグでロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手が18日、全米野球記者協会で投票を託された記者30人全員から1位票を獲得し、文句なしの満票でア・リーグ最優秀選手(MVP)に選ばれた。MVPは日本選手で初めて受賞したイチロー氏以来、20年ぶりの快挙だった。

 日本でも大いに盛り上がったニュースの前日、地元マリナーズにも大きな話題があった。会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏の球団殿堂入り。マリナーズで10人目。式典は8月27日に行われるクリーブランド・ガーディアンズとの試合前に予定し、週末3連戦を通して同氏の功績が祝われるという。

 2019年の現役引退から受ける栄誉としては、25年から資格を得る米国野球殿堂入りも確実視される。球場内外にはケン・グリフィー氏やエドガー・マルティネス氏、実況アナウンサーとして活躍した故デイブ・ニーハウス氏と、球団史で多大な貢献を果たした関係者の銅像が立つ。名称が付いた道路も中にはある。球団は今後、どのような形でイチロー氏の功績を伝えていくだろうか。

 10月初め。マリナーズはプレーオフ進出を目指し、大谷選手擁するエンゼルスとの最終シリーズを迎えた。久々となる超満員の盛り上がりにイチロー氏が躍動した当時を思い返す関係者も多かった。当地コミュニティーにも20年前とは思えない新鮮な記憶として残っているにちがいない。

 当地にとって日本の縁を深める決定的な存在だったイチロー氏だが、振り返ればマリナーズと日本選手との関係はメジャーで随一のもの。1996年にマック鈴木選手がマリナーズでデビュー。そして98年から21年の菊池雄星選手まで、24年連続で数多くの日本選手がチームに所属してきた。

 3シーズン所属した菊池選手は契約延長せずフリーエージェントになる決断を下し、21日現在で所属日本選手はゼロ。このオフの動向次第で、「当然のごとく」続いてきた流れが途切れる可能性も。これから数カ月。野球とつながり深い日系社会にとっても注目の話題となりそうだ。

(佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。