Home コラム 一石 おつかれさま 〜一石〜

おつかれさま 〜一石〜

筆者:佐々木 志峰

米国でスポーツを見ていると、野球に加えてゴルフ、テニス、バスケットボールなど、日本選手の活躍の場は着実に増えてきた。今月にオレゴン州ユージンで行われた陸上の世界選手権では、女子やり投げで北口榛花選手が銅メダル。投てき種目で日本女子初の快挙だったという。男子100メートル走はサニブラウン・ハキーム選手が決勝に進出。日本選手として世界選手権で初、五輪を含めれば90年ぶりだった。

多くが20歳代の若いアスリートたち。新しい領域、可能性を切り開いていく姿に勇気づけられることも多いだろう。

その一方で、この世代で象徴的な存在だったひとり、フィギュアスケートの羽生結弦さんのプロ転向も発表された。2014年、18年と、冬季五輪を連覇した競技活動から身を引くことになった。

27歳。米大リーグ、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手と同年生まれという。原稿を執筆している7月末、その大谷選手はベーブ・ルース以来となる1シーズン「10勝」、「10本塁打」という世紀の偉業を成し遂げようとしている。

ルースが活躍していたのは100年前の1910年代から30年代にかけてのこと。日系社会でも野球が人気を博し、その盛り上がりを伝える一役を担ってきたのが本紙の前身「北米時事」となる。

7月21日。在シアトル日本国総領事館の稲垣久生総領事公邸で北米時事の創刊120年、姉妹紙ソイソースの同30年が祝われた。残念ながら所用で当日は州外にいたため出席できなかったが、集合写真の1枚を目にすることができた。お世話になった懐かしい方々の姿もあれば、ブルース・ハレル市長といった要人の姿も。

世代を重ね、時代ごとに発行を支えてきた読者、ビジネスのサポート。シアトルだけでなく、日本など遠地からの寄稿。北米時事時代、筆者が編集部にいたころ、そして現在も変わることはないだろう。コミュニティーからの多大な支援に感謝してもしきれない。

歴史の節目を迎えた本紙。さまざまな苦難を乗り越えてきたこれまでの歩みに、一先ず「おつかれさま」との言葉をかけたい。

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。