Home コラム 一石 寒波の中〜一石

寒波の中〜一石

By 佐々木 志峰

1月初めにシアトルのダウンタウンへ行く機会があった。久しぶりということもあり、雰囲気を心配しながらだったが、筆者が散策した数ブロックは訪問客で賑わいを見せていた。少し離れた区画にはホームレスのキャンプなどもあるのだろうと考えながら、突如降り注いだ雷雨も味わった。

そして月半ばの寒波襲来。

散歩してみれば、突き刺さるような痛みが顔を襲う。エルニーニョ現象でノースウエストは例年よりも気温が高い冬となっていた中でのこと。週末ということもあり避難先を考えていると、オレゴン州の天気を見て愕然とした。降雪に加えてさらに低い気温が目に入った。真っ先に頭に浮かんだのが、ホームレスの状況だった。

突然の停電――。筆者にも予期出来ない事態だった。すでに日没時で、徐々に部屋の温度が下がってくるのが分かる。復旧の予定時間を確認し、身の回りを整える。周辺に雪はなく路面凍結していないのが幸いだ。街の中は普段通り店が営業を続け、予定外の外出となったが、暖かいひと時を過ごした。幸い停電は数時間程度。すぐに元通りとなったが、このような状況で起きてほしくないちょっとしたトラブルであった。

寒々とした街に出ると、店頭に佇むホームレスの姿が。体を覆う程度の小さなテントカバーで身を小さくしている者も。暖を取ってもらおうとホットドリンクを手渡す人もいた。この週末には、各地で地元企業や団体がシェルターを用意して協力にあたったようだ。

年の変わり時に能登半島での震災を知り、そこから大小さまざまな不安とトラブルが起きている年始といえるだろうか。

イスラエルとハマスがもたらすガザ地区の状況に抗議するグループによって、ダウンタウンを走るI―5の北行きが封鎖されたことも。機体側面の一部が離陸直後に吹き飛んだボーイング737MAXのニュースは、出張の予定が重なっている者にとって大きな衝撃だった。

不安は多くあれど、まずはこの冬を無事に乗り越えたい。

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。