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桜が最盛期へ〜一石

By 佐々木 志峰

春が来た。

シアトルが桜の開花時期を迎えた。ワシントン大学は、メインキャンパスの中庭にある桜の名所、通称ザ・クワッドに並ぶソメイヨシノ29本の開花時期を発表。3月末に向けてピークを迎えるようで、ウェブサイト(https://environment.uw.edu/news)でも情報を更新している。

ソメイヨシノだけでなく、ヒガンザクラ、ヒサクラ、カンザン、フジ、シロフゲンといった桜がキャンパスを彩る。日本から米国へ初めて桜が贈呈された100年を記念して植えられた桜も、今年で10年が経つ。節目の行事があるごとに日米親善の証として植樹が続けられており、当地の桜名所はワシントン大学だけにとどまらないのは周知の通りだ。

ピンク色の桜と美しい景観のコントラストがはっきりと分かるワシントン湖やボーイング・フィールドの桜並木は、上空から出張帰りの目をこの上なく癒してくれた。インターナショナル・ディストリクトの神戸テラス・パークやジャクソン通り。日系社会と関係深いビーコンヒルのジェファーソン・パーク。パイクプレース・マーケット近くでも昨年11月に桜植樹が行われ、桜並木が復活する。

上皇陛下が当時皇太子として1960年に訪問された際に植樹された桜の後継木として、皇室ゆかりの桜も当地に根付く。そしてシアトルセンターに並ぶ木々。日本から初めて届けられて110年あまり。この地で一世紀以上の変遷を見てきた桜もまだ残っているだろう。クイーンアンの岡の上にあった巨大な桜の幹が頭に浮かぶ。本紙アーカイブを頼りに、セントラル・ディストリクトの一角に咲いていた桜を見つけたことを思い出す。

以前、帰宅時に頻繁に通った道筋に5本ほど桜が並び、ひそかな「桜名所」となっていた。その後、開発でなくなり、移植されたのかどうかも不明なままだが、こうした「自分だけの桜」を発見するのも楽しい。

種類によって開花時期は異なり、5月あたりまで楽しめる。そして桜の季節と言えばシアトル桜祭・日本文化祭。4月12日(金)から14日(日)まで、シアトルセンターで恒例開催となる。

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。