Home 食・旅・カルチャー 地球からの贈りもの~宝石物語~ Vol.203 ドッピオ...

Vol.203 ドッピオ・バチェラート〜地球からの贈りもの〜宝石物語

Vol. 203 ドッピオ・バチェラート

By 金子倫子

年を取ったなと感じる瞬間は、髪が少なくなって分け目がクッキリとしてきた頭頂部や、首に線状のみならず、ちりめん皺を自覚した時だけではない。結構最近買ったと思っていた服を、10年以上前の写真の中で着ていたり、集めている雑誌の切り抜きの中に、ほぼ30年前の物を見つけたりした時なども時の流れを感じる。

前回紹介したティファニー社の16ストーンリングが現在公式で280万円程だが、実家に置いてある私の切り抜き集に載っていた価格だと、92万円。何年の雑誌の物かははっきりしないのだが、前後の切り抜きから察するに1998年ぐらいだろう。今や3倍の価格とは、いやはやいやはや、ひたすらにため息。

それはさておき、前回紹介したリバイバルやリニューアルの波を受けたジュエリーはほかにもある。今回は「色石の魔術師」と称されるブルガリ社のアイテムにフォーカスしたい。この俗称は、5大貴石と呼ばれるメジャーな物だけでなく、半貴石と呼ばれるさまざまな色彩の石を巧みに組み合わせている事にも起因している。

紹介するのは、ドッピオ・バチェラート。イタリア語でドッピオとはダブル、バチェラートとはギリシャやローマ建築などに見られるひだ状の装飾の事だそうだ。オーバル型の宝石を中央に配した、アームの部分は波紋の様にひだ状の装飾が施されたリングを2本重ね付け(スタック)したようなデザイン。基本的に違う宝石が上下に並ぶので、その色合わせのユニークさが特徴。今年復活した際は、ピンクゴールドのアームにペリドット(黄緑)とアメシスト(紫)のコンビ。そしてイエローゴールドにシトリン(黄)とブルートパーズ(水色)のコンビで、それぞれ約104万円(北米のサイトでは6900ドル)で販売されている。

オリジナルはというと、1990年代〜2000年代に販売されていたとされる。実は私、先に述べた切り抜き集だけではなく、いくつか価格リスト付きのカタログも集めており、その中に2000年のブルガリ社の物も含まれている。残念ながら全アイテムではなくて、ジュエリーと時計が各数十点程度のみだが、その中にドッピオ・バチェラートも3点見つけることができた。どれもイエローゴールドで、アイオライト(青紫)とブルートパーズ(水色)のコンビが2000ドル。ルベライト(濃いピンク)とグリーントルマリン(緑)のコンビが3800ドル、そしてアメシスト(紫)とピンクトルマリン(ピンク)のコンビが5100ドル。

これに記載されているのはこの3つだが、オークションサイトやフリマサイトなどを見ると、ペリドットとブルートパーズ、ブルートパーズとピンクトルマリンなどの組み合わせもあるようだ。今年復活した物はカボションカットと呼ばれるファセット(面)の無いツルっとした色石。私のカタログの物は、ファセットが施されているので、新旧の違いはカットの仕方?と思ったが、旧モデルでもカボションカットが見つかったので、色石の組み合わせだけでなく、異なったカットのバージョンが出ていた様子だ。

日本のフリマサイトなどで探してみると、ドッピオ・バチェラートという名の元に、多様なバージョンがあって驚くほど。1本のリングの両端にそれぞれ色石が付いていて、その石の部分が上下に半分重なるぐらいにずらして位置する様なデザイン。石もオーバル型でなくてペア型など。ほかには、1本のリングの中央に2つの色石が並んでハートを形作っているバージョンもある。色石はピンクトルマリンとアメシストの同系色コンビや、ピンクトルマリンとペリドットの反対色など、色遊びが目にも楽しい。

リバイバル版が出ると、オリジナルの中古品の価格も上がる傾向があるが、これもご多分に漏れず、数年前には30万円程度だったのが、今や新作とほとんど変わらない100万円前後で販売されている。

色の魔術にかかっていないとやすやすとは手が出ない価格だが、好みの色の組み合わせを見つけたのであれば、それは「買い」かも知れない。