ジュエリーフェス
By 金子倫子
祝200回。この日を迎えるとは、連載を開始した2010年当時には想像もしなかった。
これはひとえに、北米報知に関わる皆様や今まで担当頂いた編集者3名の寛容さと忍耐あっての事。そして、本コラムを読んで頂いている読者の皆様。長い間お付き合いいただき、本当にありがとうございます。
連載開始から約16年。北米報知の中で箸休め的な存在であれたら、と思ってネタを選んできた。個人的な意見もここそこに散りばめるものの、政治的な見解などが偏らないように気を配ってきた。それに関しては、担当編集者の方も敏感に原稿を確認してくれているだろう。
新型コロナウィルスが世界に混乱をもたらして以来、さまざまな地域での紛争や世界経済など、困難が幾重にも打ち寄せる波の様。
苦難の時代において装飾品の話題など浮かれている、と思う人もいるだろう。しかし装飾品は、人が人としての歴史を始めた頃から共にあった。現存している最古の装飾品は、モロッコの洞窟で発見された、約15万年前の貝殻から造られたビーズだとされている。文明うんぬんの前から、人は装飾品で身を飾っていたという事になる。
これを思う時、装飾品で権力、財力、家柄を体現したいというよりも、美しいものを身に着けたいという願望の方が先だったのではないか。美しいものが傍にある事がもたらす心の豊かさを、原始の頃から知っていたのであろう。己の身を飾ることは、本能に近いのかもしれない。
そんな本能を感じたのが、7月最初の週末に開催された、約350のショップやブランドが集結する東京ジュエリーフェスというイベントに行った時の事。中日の土曜には日本ジュエリーベストドレッサー賞の授賞式が行われ、特別賞に高市早苗内閣総理大が。授賞式には入場料とは別に途料金がかかり、席によって1〜2万5千円。開催の数日前でもまだ販売中だったので購入を迷ったのだが、総理の出席は調整中とあったので見送ることに。インド訪問から帰国直後、さらに衆議院予算委員会の直前という事もあり、参加はないと見込んだからだ。ところがどっこい、予想を裏切り総理は授賞式に出席。一番安い席でも押さえておけば良かったと大後悔。
高市総理を見られなかったのは残念だが、イベントに集まった人たちのエネルギーを感じて、一層ジュエリーが好きになった。
会場には、いわゆるパワーストーン系から、10カラット以上のダイヤモンド、ジュエリー作家の一点ものなど、ザ・定番まで多種多様なジュエリーが一堂に会した。印象的だったのは、それぞれのブースで目をギラつかせ「買うぞ〜」の熱気をまとった多くの女性達。特にエネルギーを感じたのは、自分のために購入する人が多かったからではないか。パワーストーンのビーズやルースを吟味している姿は、金魚すくいの如く、すごい集中力で石の並ぶテーブルを見下ろし、厳選してトレーに乗せていく。ジュエリーに関しては、特に10万円台以下ぐらいの物を大量に扱うブースは接客待ちの人が並び、ひときわ混んでいた。
男性と一緒に選んでいる様な人は圧倒的に少数派。女性数人のグループなども多々見受けられた。キケンだなと思ったのは、友人同士での褒め殺しあい。「シンデレラフィット(シンデレラのガラスの靴のようにぴったりのサイズ)! 買うしかないよ」とか「有名人の〇〇みたい〜!」とか。1人だったら躊躇しても、友人に乗せられて買ってしまいそうな会話をあちこちで耳にした。そうかと思うと、店員さんと交渉している人なども居て、人を観察するだけでも楽しめた。
膨大な数・種類の中から、自ら選ぶ幸せ。欲しいと思わせるジュエリーの魅力。「やっぱり好き」と実感したイベントだった。










