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フルサークル モーメント〜地球からの贈りもの〜宝石物語

フルサークル モーメント

By 金子倫子

今月22日に閉幕したミラノ・コルティナ冬季オリンピック2026。競技はもちろんだが、セレモニーも興味深い演目が多々あった。中でもイタリア人特有のバラエティー豊かなジェスチャーをストーリー形式で表現した、コメディアンで俳優のブレンダ・ロディジアニ氏に大爆笑。

そしてスタイリッシュでありながら厳かだったのが、昨年秋にミラノの自宅で亡くなったジョルジオ・アルマーニ氏へのオマージュ。イタリア国旗の色である赤、白、緑、それぞれのパンツスーツを纏ったモデルたちの最後尾には、イタリア人モデルであるヴィットリア・チェレッティがハイネックの真っ白なロングドレスを纏い、手には折り畳まれたイタリア国旗を携え、女神のような佇まいだった。

アルマーニなどのファッションのみならず、職人技に支えられるブランドを数多く抱えるイタリア。ジュエラーとして最も知名度が高いのはおそらくブルガリだろう。その後にダミアーニ、ブチェラッティ、そしてポメラートなどが続くのではないか。ブルガリはローマ、ダミアーニはヴァレンツァ、ブチェラッティとポメラートはミラノが発祥。

今回のオリンピックの開催地でもあるミラノ発祥のこの二つのブランドだが、そのスタイルは大きく異なる。創業100年以上のブチェラッティは、絹織物を思わせるリガードと呼ばれる細い線を平行に掘る技法や、チュールやレースと表現されるような網目の透かし技法を用いたジュエリーが有名である。華奢ではなく、指輪にしてもブレスレットにしても幅があり、かなりの存在感。しかし繊細な技法が全体に施されていることによって、重厚感よりも軽やかな印象が強い。これとは対照的な、ボールド(力強い、大胆の意)という言葉を具象化したようなジュエリーがポメラートである。

昨年秋に写真家のヘルムート・ニュートンが撮った、ポメラートのキャンペーン写真の展示会に行った事は、以前こちらのコラムでお伝えした。1967年創業の同ジュエラーは2001年に発売された半貴石はんきせきに57の面を施したヌードというシリーズで一気に知名度を上げたが、昨秋の展示会では、80年代のキャンペーンで使用されていた地金のチェーンがフォーカスされていた。

80年代のウーマンリブを強調するようなボールドなジュエリーを纏う女性たち。展覧会でもかなり衝撃を受けたのだが、実はその後2カ月ほど経つと、より強さを増した衝撃波に襲われたのだ。展示会の写真の中にあった様な、チェーンのジュエリーがどうしても欲しくなった。因みに私はネックレスをつけないので、狙うはリングかブレスレット。

ウェブサイトを見ると、現行でチェーンを用いたデザインはイコニカとカテネというシリーズのみで、指輪に至ってはカテネのみ。そして一番安い物でも、お値段なんと約100万円。一時、1オンス500ドルを超えた金相場を考えればある意味仕方のない値段だろうが、100万円はハードルが高い。そこであまり気は進まないが、中古品へ方向転換。中古品の購入は今まで何度もあるが、基本的には投資目的。時機を見て売却か、溶かしてオーダーメイドのジュエリーを作るかという考えを念頭に購入してきた。しかし今回初めて、身に着ける事を目的に中古品を探す事態になったのだ。

オークションやネット販売サイトを検索しまくり、いくつか目星をつけた。日本サイズで14号程度(アメリカのサイズ7程度)を探していたが、人差し指であれば多少大き目でも大丈夫ということで、数サイズの幅を持たせて検索。全周囲チェーンのみのリングを見つけたが、サイズは22号。チェーンのデザインだとサイズ直しはほぼ無理なのと、親指でもブカブカなので、涙を飲んで断念。次に、全体はチェーンだが、その中央に蜂のモチーフが付いた11号の指輪を見つけた。蜂のモチーフの云々の前に、そもそも指が入らない。中古で妥協したのだからと上から目線だったが、そんな思惑を笑い飛ばすかのように、チェーンの指輪探しは難航した。

チェーンリングに巡り合えたのかは、また次回。