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ワシントン州の行き先〜一石

By 佐々木 志峰

2010年代に急成長を遂げたシアトル地域。ワシントン州は米国内からの移住者を増やしてきたが、シアトル・タイムズ紙によると、その流れに変化が出てきているという。

最近発表された国勢調査統計で、ワシントン州の人口は21年7月からの1年間で約4万5千人増加し、770万5千人となった。全米で13番目の多さという。シアトル・タイムズ紙によると、出生数や海外からの移住者が増えたことが寄与した。一方で州外への移住者は他州から来る人数を上回ったそうだ。

人口増加率は全米16位。過去何年にもわたって上位10州にあった勢いは統計上見られなくなったようだ。米西海岸ではワシントン州を除き、オレゴン州、カリフォルニア州は人口を落とした。減少はニューヨーク州をはじめ米北東部でも目立つ。

人口の増減は国内、国外からの移住者だけでなく、出生数、死亡者数なども絡む。住民年齢は将来的に人口増減の流れで大きな要素にもなる。アジアとの玄関口ワシントン州は、海外から3万7500人の移住者があったという。過去最多だった2015年を4千人強上回る数字で、新型コロナウイルス感染拡大期もあって1万人に達しなかった前年統計の反動となっているかもしれない。州外移住者の人数で上回った米国内の動きこそが現状を示すものだろうか

人口増加率が最も高かったのはリタイア後の移住先として人気を誇るフロリダ州。住民年齢の中央値は高く、死亡者数は出生者数を4万強上回る。それでも、全米各地から32万人近くが移住し、人口は41万7千人増。テキサス州も23万人以上が米国内から移住し、人口は最多の47万1千人増。昨年何度か出張で訪れた両州だが、そのたびに力強い伸びを実感できた。

生活に直結する物価も大きく影響しているだろう。たとえば全米自動車協会(AAA)によると、22年末段階でテキサス州の1ガロンあたりのガソリン平均価格は、ワシントン州より1ドル、カリフォルニア州よりも1・5ドル安価となる。

次の1年はどういう流れになるだろうか。