Vol. 201 ジュエリーフェスの続き
By 金子倫子
前号(2026年7月24日発行)掲載の連載200回目は、通常のコラムと共に私へのインタビュー記事なども掲載され、とてもスペシャルな気分を味わった。300回、400回を目指すと同時に、これからも1回毎、丁寧に書いていきたい。
引き続きジュエリーフェスの話題だが、今回はもっとそれぞれの店舗にクロースアップしよう。
まず時代の変化を感じたのは、多くのブースが会場では直接販売しておらず、ライブ販売からの購入のみとなっていたこと。20名ほどのテレマーケターがそれぞれのスマホカメラに話しかけながら視聴者に販売する様子は異様と言えなくもないが、エネルギーと活気で溢れ、それはそれで興味深い一場面だった。
前回も少し触れたが、パワーストーン系のルースやビーズがテーブルにてんこ盛りになっているセクション、ジュエリー作家のセクション、そして通常の卸や小売りなどのセクションで成り立っていたフェス会場。
まず入口の左側にドーンと構えるのは、京セラのブース。いや、ブースというのは語弊があるかもしれない。3、4区画分くらいの広さがあり、京セラが誇るラボグロウンの石などを使用したジュエリーが豊富に揃う。比較的豪華な印象のジュエリーが多く、価格も全体的に高めの品が中心だった様に思う。京セラの創業者である故、稲森和夫氏は1970年代に再結晶エメラルドの開発に成功し、その第一号を指輪に仕立て、生成に至るまでの苦労や成功の象徴として、その後生涯を通じて左手の薬指に着けていた。
今やダイヤモンド以外にも、ほかの貴石のラボグロウンも手掛ける京セラ。ジュエリーは1つ1つ丁寧に展示されており、それぞれに京セラの伝統とプライドが宿っている様な荘厳さがあった。
ラボグロウンダイヤモンドに特化したブースもあった。価格表が出ていたので写真に収めておけば良かったと今更になって思う。1カラットで3万円前後、3カラットで6万円程度だった気がする。このブースに寄った理由は、私が運命の出合いを果たしたビンテージのポメラートのリング。この指輪には大粒のシトリンが付いているのだが、大きく出っ張っているためガンガンぶつけてしまい、面(ファセット)と面の境目が傷つき、白っぽくなってしまっている。そんな理由から、シトリンを外してラボグロウンダイヤモンドへの交換もありかな?と思っており、こちらでいろいろとチェック。さまざまなサイズや形のラボグロウンダイヤをリングに当てて、しっくり来るものを探した。結論としては7カラットのクッション型だったのだが、お値段20万円ほど。再販価値がグッと下がるラボグロウンダイヤは、資産価値は見込めない。単純に愛でるために20万円の支出をするなら、資産価値を保つ金かプラチナでも購入した方が良いだろうという打算が頭の中を占拠し始めた。10万円程度なら思い切りがついたかも知れない。今後さらにラボグロウンダイヤの価格が下がることを願いつつ、ブースを後にした。
甲府のジュエラーは、店舗を持たず、イベント時の出店とウェブでの販売のみという事だった。そこで扱っていた興味深い石は、カボションカットのダイヤモンド。カボションとは面が無く、ツルっとした宝石の研磨方法である。色石などは色の深みが強調される事もあり、ファンも多い。カボションの難点は、全体を平均的に研磨することで、原石をかなり削り取る事になってしまうので無駄が多い。そんな理由から、ダイヤモンドをみすみすカボションにする事は基本的に無く、私も初めて目にした。美しさの議論は置いておいて、珍しい物が見られたのは収穫だった。
多種多様なブースと、ジュエリー好きが一堂に会したフェス。私個人はジュエリーや宝石が好きだからこそ業界とは距離を置いて今まで来たのだが、ジュエリーの事を考えていられる時間は自分にとって幸福度も満足度も高いと改めて気づかされた。朝から晩までジュエリーを思い、業界で働くことが私にとっての進むべき道なのか?と本気で考え始めるきっかけになった今回のフェス。
近々皆さんに新しいキャリアのご報告、なんて事もあるかもしれない。












