By 佐々木 志峰
熱狂を呼んだ男子サッカーのワールドカップ(W杯)北中米大会が幕を閉じた。米国の建国250年も重なり、記録的な観客動員で歴史に残る一大行事となった。
6試合が行われたシアトルもさまざまな注目を集めることになった。地元の組織委員会がプライド・ウィークに合わせて認定した「プライド・マッチ」はエジプト—イラン戦。揺れる中東情勢に文化的な価値観も絡み合う複雑な環境となった。米国選手の出場停止処分を巡って政治的な介入を疑われるまで混乱を引き起こした米国—ベルギー戦。結末から言えば、当地の盛り上がりはやや寂しい形で終わりを迎えてしまった。
評判については開催地でトップクラスだった。観戦に適した穏やかな気候もあっただろう。駅から近く、ダウンタウンも目の前という抜群の立地。出張で訪れた同業者もノースウエストの雰囲気、景色、味覚を楽しんでいってもらえたようだ。
興味深かったのが、徒歩圏内にあった会場外の駐車場。実は初戦の値段が一番高額だった。最後の米国—ベルギー戦でわずかに値段が上がったが、それまでは目にする限り試合ごとに値が下がっていた。自家用車で向かうメリットがなかったのだろう。ライドシェアが大きな機会を手にし、ライトレールの乗客数も過去最多まで膨れ上がった。
大会期間中に招致都市を外れた中西部の大都市を訪れたことがあった。利用した電車は便利だが、老朽化に加え、雰囲気も決して良いとは言えない。開催地となれば改善に多大な予算と労力を必要としただろう。交通システムを整備してまだ新しいシアトルは条件で恵まれていた。
残念な部分もある。チャイナタウン・インターナショナル・ディストリクト(CID)駅を数回利用したが、試合会場へ流れる人の動きを見て、地元コミュニティーへの恩恵があったのか気になった。伝わるところでは、パイオニアスクエアの盛況ぶりに対して、CIDは思惑通りとはならなかった。特に試合日は混雑を避ける地元市民の足が遠のき、結果として収益を落としたビジネスもあるようだ。
功罪ある「祭典」は終わった。まずは通常通りのシアトルに戻りほっとしている。

