パリオリンピックとショーメ
By 金子倫子
3月後半、関東で雪が降ったと思ったら、その1週間後には25度越え。さぞかし桜も戸惑ったであろうし、今や「季節外れ」という言葉の定義すら曖昧になってきた。
それはさておき今回は、随分時間は経ってしまったが、2024年夏のパリオリンピックの話題を。
私が子どもの頃の日本では、スポーツとジュエリーはある種相反するものだった。それが今や、各々の個性を垣間見るようなジュエリーを身につけた選手たちを競技中も見られるようになった。
昨年夏のパリオリンピック。バレーボールの宮部藍梨選手の首元に光るのは、両親からもらい、肌身離さず着けているカルティエ社製のラブシリーズのペンダントだ。 陸上の樺沢和佳奈選手の首にはティファニー社のTスマイルネックレス。二人とも華美になりすぎない、ほどよい華やかさがある。
そして今回特に取り上げたいのは、卓球の早田ひな選手。インタビューでのブランド名連呼からも話題になった、ショーメをはじめとするジュエリー好きの彼女 。
ショーメのことを話す前にほかのものから紹介すると、まずは右手首にまとった、パリのジュエリーブランド、フレッドのフォース10のブレスレット。写真を見ると、おそらくラージモデルのイエローゴールドにダイヤモンドが敷き詰められたバックルとエンド。それに青のスチールセーリングケーブルのブレスレット部分から成る、約110万円のモデルだろう。フォース10シリーズは、創業者であるフレッド・サミュエル氏の息子が、バケーション中にヨットのケーブルを使用して作ったお手製のブレスレットが元になったと言われる。バックルとエンドは、スチール、ゴールド、ダイヤモンドの有無など、バラエティー豊か。ブレスレット部分もケーブルの色から、貴金属のチェーン等でカスタマイズが可能だ。
同じ手首に、ダイヤモンドとサファイヤと思われる青い石が連なったラインブレスレットも。これはハッキリ見える写真が見つからなかったが、ダミアーニのアイスバーグではないだろうか。もしそうであるならば、ホワイトゴールドのベースで、留め具の反対側であるブレスレット中央にダイヤモンドが約10個並び、そこから留め具に向かって左右対称にサファイヤが薄目の青から群青色までのグラデーションで並ぶ。フォース10の青いケーブルとサファイヤの青がリンクする。
そしてショーメのネックレスへと繋がる。1780年創業でナポレオンの皇后ジョセフィーヌの御用達として地位を確立し、パリオリンピックメダルのデザインを手がけた。早田選手は「メダルをデザインしたショーメのペンダントとリングを着けてメダルを取りに来たと」いう趣旨のコメントをしている。
まずペンダントはリアン(絆)シリーズの一つで、ダイヤモンドが連なる輪とサファイヤが連なる輪を斜めにクロスさせた感じ。横からは立体的だが、正面からは×のように見えるデザインが特徴だ。お値段約120万円。こちらでもサファイヤが使用されているので、2つのブレスレットの青にリンクしている。 そしてリングの方は、ビー ドゥ ショーメのシリーズ。ホワイトゴールドの6角形(蜂の巣状)が地金のみとダイヤを配したものが交互に並ぶ。このリング、試合中は身に着けておらず、表彰式で左手の人差し指に光っていた。早田選手は左利きのため、左手で卓球のラケットを持つので、やはり試合中だとラケットにぶつかってしまうからなのか。ただ右の人差し指と薬指には試合中でもリングを着けている。それは良いとして、このショーメのリング。記事を書くにあたり、ウェブサイトを確認したら名称が変わっていて驚いた。元々はビーマイラブいう名称だったはず(ビーは蜂のBeeとBeをかけている)。ビーマイラブだと、愛の贈り物という意味合いが強く、購入のきっかけを狭めてしまうから、名称を変えて自分で購入する事を推進するのが狙いなのかもしれない。
本コラムでも何度か言及している通り、最近金の高騰と円安を考えて、少しずつ中古のジュエリーを購入し始めている。今までの知見を元に最近購入したのが実はショーメのリアンシリーズで、リングを2つとブレスレットを1つ。ピンクゴールドのリングは現行品で、新品の約4分の1の値段で購入。これらについてはまた別の機会に。