Home コラム 一石 今冬は野球に注目

今冬は野球に注目

シーホークス一色で染まる、冬のシアトルスポーツ。今年も順調に勝ち星を重ねてきたが、けが人に悩まされ、遂にはCBのリチャード・シャーマン選手が離脱してしまった。QBラッセル・ウィルソン選手の脳振とうに関連してペナルティーも課されるなど、この時期の気候のように暗雲が立ち込めてきた。

今年はオフシーズンを迎えた野球の話題が賑やかだ。特に日本選手関連では、フリーエージェント(FA)となったダルビッシュ有選手の動向。そして大リーグ挑戦を表明した大谷翔平選手の存在がある。大谷選手に関しては、まず移籍の道筋がはっきりするポスティングシステムの最終合意を待つ必要があるが、注目選手として様々な予測、憶測記事が連日発信されている。移籍先にマリナーズを有力候補の1つとみるメディアも少なくない。

岩隈久志選手が移籍した際、元所属先の拠点だった仙台とシアトルの雰囲気が近いと話していたことを覚えている。地理的な部分を含め、何となく気質や風土も近いのだろうか。大谷選手は岩手出身、所属チームの日本ハム・ファイターズは北海道札幌を拠点とする。札幌の姉妹都市としては、同じノースウエストのポートランドがある。

またマイアミ・マーリンズとの契約延長に及ばずFAとなったイチロー選手の移籍先にマリナーズの名が挙がった。外野手不足、イチロー選手の古巣といったものが大きな理由だが、チーム公式サイトの記事では「ほとんどあり得ない」と伝えている。引退前の1日契約の可能性はあるが、イチロー選手自身が「最低50歳まで現役」と言うからには実現は先の話だ。

ダルビッシュ選手をマリナーズを移籍候補の1つに挙げる記事も見かけた。右肩を手術、復活を期する岩隈久志投手の動向も気になる。地元日系社会で野球の話題は、引き続き盛り上がりそうだ。

最後になるが、マリナーズで日系人監督として人気を集めたドン・ワカマツ氏は、テキサス・レンジャースのベンチコーチに就任した。一度苦い味を経験した監督の座へ戻るべく、少しずつだが確実に階段を上がっているようだ。シアトルへ遠征する機会も多くなり、懐かしい姿を見せてくれるだろう。

(佐々木志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。