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マンデーナイトフットボール

by 佐々木志峰

感謝祭の週始め、「マンデーナイト・フットボール」としてシアトル・シーホークス対アトランタ・ファルコンズの一戦が行われた。序盤から劣勢にさいなまれながら粘ったシーホークスの惜敗に終わったが、コミュニティーにとっての注目のイベントはハーフタイムにあった。復員軍人を讃える式典として、二世復員軍人会(NVC)のメンバーが参列した。

ベテランズデーの後に初めて行われる地元試合。試合前、ハーフタイムと関係者を讃えるイベントを毎年企画しており、NVCがシーホークスに招待されていたことは関連会合に顔を出した際に耳にしていた。第二次世界大戦に従軍した8人の二世がフィールドに立ち、いずれも「12番」を身にまとい、笑みをを浮かべ、大きく手を振りながら拍手に応えていた。

映像はシーホークス公式サイトで紹介されている。軍事情報部(MIS)、第442連隊戦闘団、第522野戦砲兵大隊出身のジャンクス・イケダさん、ミキ・ヒロオさん、フランク・ホリさん、ジミー・カナヤさん、ジム・ミヤモトさん、キム・ ムロモトさん、フランク・ニシムラさん、トシ・ トクナガさん。米国史上、もっとも多くの勲章を受けた部隊とのアナウンスを受け、サイドラインで見守る家族関係者の背には立ち上がって拍手を送るファンの姿があった。

第二次世界大戦で シアトルから強制退去を受けて75年。今年の主だった関連行事の締めともいえるのではないか。9月にはピュアラップのワシントン州フェアで特別展が開かれ、75年前に収容された「キャンプハーモニー」の場に関係者が集まった。節目の年、様々な形で一般社会への啓蒙が行われた。

NFLを巡っては選手の国歌斉唱の際の行動で大きな論争が起きていた。ベテランズデーをターゲットにボイコット運動がソーシャルメディアで呼びかけられるなど、不穏な動きもあった。昨今の情勢もあり、「政治的な意図」もあったかもしれないが、それでも二世の彼らに再びスポットライトをあてる機会を持てたことに感謝したい。

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。