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地球からの贈り物 ~宝石物語88~

トランプ家の女性達

何やらまだ夢を見ているようだ。しかし現実には着々とトランプ氏の大統領就任への準備が進められている。女性大統領誕生の道は、思ったよりも険しかったようだ。

新たな大統領ということは、新たなファーストファミリー誕生ということ。この次のファーストファミリーの中でも注目を集めるのが、トランプ氏の長女であるイヴァンカ・トランプである。トランプ氏が先進国のトップの中で一番最初に面会したのは、日本の安倍晋三首相。そして長女イヴァンカが安倍首相との会談時に同席していた事が物議をかもしている。

イヴァンカには上に兄、下に弟がいるが、トランプ氏がビジネスパーソンとして最も信頼を置いているのが、この3きょうだいの真ん中のイヴァンカと言われている。トランプオーガニゼーションの副社長に就任し、次期の影のファーストレディーとも呼ばれている。180㌢近い身長の元モデルのイヴァンカを語るには、母親でありトランプ氏の最初の妻イヴァナの存在から説明しなければならない。

現在の妻メラニアは3番目の妻で、2番目はマーラ・メイプル、そして最初の妻がイヴァナである。ファーストレディーになる現在の妻メラニアはスロベニア生まれで、米国史上2番目の、米生まれでないファーストレディーとなる。ちなみに、もう一人はジョン・アダムスの妻だったルイーザ・アダムス。しかしこれがまた随分と前の話で、1825年のことである。ほぼ200年ぶりに外国生まれのファーストレディーが誕生する。

前にも書いたが、トランプ氏がこのラニアへの12カラットの「D、フローレス」のダイヤモンドをハリー・ウィンストンではなくグラフで購入したことがグラフの知名度を一気に押し上げた。

2番目の妻のマーラ・メイプルとの関係は、まだトランプ氏が最初の妻イヴァナと結婚していた最中に始まった。不倫を知ったイヴァナは離婚に踏み切り、イヴァナとの離婚後、マーラと結婚。トランプ氏は25万㌦と言われた、7・45カラットのエメラルドカットのダイヤモンドリングをハリー・ウィンストンで購入。二人は6年の結婚生活ののち離婚し、マーラはそのリングをオークションで11万㌦で売却。そのリングが再びオークションに出され、今年の6月に30万㌦程で落札された。

二人の間にはティファニーという娘がいる。ティファニーという名は想像に違わず、あのティファニー社からきている。しかし理由はというと、最初の贈り物がティファニー社のジュエリーだったなどというロマンチックな類の物ではない。トランプ氏が5 番街のティファニー本店のビルの建物の上の空中権を買い、それによってトランプタワーの着工が可能になったことからきているとか。

マーラ・メイプルとの不倫発覚後三下り半を出した、最初の妻イヴァナ。チェコスロバキア出身の元モデルだが、ビジネスパーソンとしての才能がトランプ氏の事業拡大に貢献した。グランドハイアットホテルや、タージマハルカジノリゾート、そしてトランプタワーなどのプロジェクトに深く関わった様だ。

イヴァナはショッピングチャンネルでのコスチュームジュエリーの販売でも成功を収めた。トランプ氏との離婚時は婚前契約よりも遥かに多い財産を受け取ったとされ、この痛手がトランプ氏が80年代の自己破産宣告の原因だとも言われている。ビッグヘアーにビッグショルダー。紫やピンクのアイシャドーにアクセントの強い英語。これでもかと派手でゴージャスのイヴァナは、まさに80年代の強い米国とう感じだった。

イヴァナは離婚後、『ファースト・ワイブズ・クラブ』という、若い女性に夫を取られた「一番目の妻」達の逆襲喜劇の映画の中で「ドント ゲット マッド。ゲット エブリシング」というセリフを言う。それは夫に裏切られてなお、したたかに前向きに生きるイヴァナが言ったからこそ響いた。こんな母と、そして父のビジネスの才能を最も受け継いでいるのが長女イヴァンカのようだ。

続きはまた来年。

(倫子)

 

 

80年代のアメリカに憧れを抱き、18歳で渡米。読んだエッセイに感銘を受け、宝石鑑定士の資格を取得。訳あって帰国し、現在は宝石(鉱物)の知識を生かし半導体や燃料電池などの翻訳・通訳を生業としている。