Home コラム 一石 「開国」日本〜一石〜

「開国」日本〜一石〜

By 佐々木 志峰

出張などすれば満席の飛行機も多く、人波であふれる空港が目に入る。ホリデーシーズンとなれば、さらなる盛況ぶりを見せるだろうか。そんな矢先、今秋以降に日本への一時帰国を予定している同業者の一言に驚かされたことがあった。

ロサンゼルスからの日本往復便を800ドル程度で購入できたという。実際に調べてみると、その通りの値段。日にちごとに細かく調べたわけではないが、当地を含めた西海岸主要都市の中でも、ロサンゼルス発が圧倒的に格安となっている。訪日の絶好機に違いない。

新型コロナウイルスの感染拡大から実施されてきた水際対策で、人の動きに関してほぼ「鎖国」状態が続いてきた日本。ワクチン接種者に陰性証明書提示の義務がなくなるなど、緩和措置が徐々に実施され、10月11日に個人旅行の入国がようやく再開された。

「秋の旅行シーズン」とも言うが、物価高の昨今、急激な円安となった日本はとてつもなく魅力的に映る。観光客が続々と日本に到着する様子もニュースで伝わってきた。屋外のマスク着用は原則必要ないというが、あるメディアが掲載した写真ではマスク着用の市民とマスクなしの旅行者で対照的。「開国」とともに日本国内の意識も変わるだろうか。

日本政府観光局によると、9月の訪日外国人数は推計で20万6500人だった。月ごとの数字は夏から右肩上がりで、新型コロナウイルスの水際対策以降で初めて20万人を突破した。

それでも最盛期だった2019年を見れば、9月の1カ月だけで訪日数は約227万人と今年の10倍以上。今年の訪日数は9月までの段階で100万人を超えたところ。19年は同期間で2400万人強だった。すべてはこれからだ。

入国制限の緩和で日本の国際線便数も回復見込みにあるとされ、19年の頃までとはいかずとも訪日数は伸びていくだろう。あとは受け入れ側にどれだけ準備ができているか。2年半の間で流出した人材は観光業に戻ってくるだろうか。

日本側と海外。それぞれ待ち続けてきた人々も多い。数字を含め動向を興味深く見守りたい。

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。