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価値観の棚卸〜地球からの贈りもの、宝石物語

2021年も終わろうというこの時期に現れた、オミクロン変異株。この2年近くはコロナ関連の規制などが生活の指標になっているような感じで、この年末年始は「オミクロン」一色となってしまいそうだ。 

それにしても、今までのアルファやデルタに比べて、オミクロンとはいきなりネーミングが恰好よすぎはしないだろうか。ヒーローものの映画に登場する、悪者と戦っているキャラクターのような印象だ。

ヒーローものと言えば、スパイダーマンでベンおじさんが「大いなる力には大いなる責任が伴う」というセリフがある。今年もその言葉を強く思い起こす事が多々あった。これを書いている数日前に、高校での乱射事件で4人のティーンが命を奪われた。権利ばかりが主張されるが、それに伴った責任や義務は?銃を持つ権利と、安全を保障する義務?言論の自由は、匿名で誹謗中傷や嘘を拡散させる免罪符なのだろうか?ワクチン未接種で重症化した人の治療のために、治療を受けられなかったがん患者の権利は?「権利とは?」もう一度じっくり考えてみる必要があると思うのだ。 

全く個人的な話だが、「おばけ」と同様、存在自体の信憑性を疑っていた「更年期障害」。この波が一気に押し寄せてきた。私にとって、更年期障害は出産レベルでの顕著な体の変化をもたらしていて、正直なところ驚いている。半年ぐらい前から頻繁に、朝起きたら手の関節という関節が痛い。ネット検索をすると、更年期障害の症状として一般的だと出てくる。へバーデン結節、ブシャール結節、リュウマチなどの可能性もあるので、診断を仰いだり経過を見なければならないそうだ。いずれにしろ、手の節が固く大きくなるらしい。

私は顔が大きく首が短いのでネックレスはこの20年以上身に着けていないが、手は褒められることが多いこともあり、指輪を常に着けている。手指の関節痛を体験し、いつかは指輪が似合わなくなる時が来るであろうと、しみじみと感じる様になった。だが一方で、ダイヤを少しずつ買いためて、10年後位にオリジナルのブレスレットを作ろうか、などと思ったり。もしかしたらネックレスが似合う様になるかもしれないなどと、これからの私個人のジュエリー史に思いを馳せている。

人それぞれジュエリー史があるだろうが、ジュエリー界全体でも布石となるような大きなトレンドがある。最近の大きな布石と言ったらイヤーカフ。実際カフだけに留まっていないので、「多様化した耳飾り」と言った方が本質を捉えているかもしれない。イヤーカフは元々あったが、ちょっとパンクな印象と言うか、反抗期の象徴というような感じで、品行方正とは対極にあるようなイメージだった。それが今や一流ブランドが、貴金属と宝石を使って、新たなカテゴリーを創り上げたかのような多種多様なデザインの数々を発表している。耳上部の軟骨部分に引っ掛け、そこから耳たぶに届くほど垂れ下がる大振りな物だったり。カフを何個も連ねたような物だったり。ピアスの穴をあける必要が無いので、試すハードルが低い。それに片耳どちらかというのが基本で、右耳用、左耳用などシングルとして販売されているものがほとんど。この潮流は普通のピアスにも及び、今やシングルでスタッズやフープのピアスを販売するジュエラーも出てきた。最初からシングルで買っても良し。ペアーで買って、もしその後に片方がなくなっても、また一つだけ買い足せるならとても経済的だしエコでもある。

皆さんも一つや二つあるだろう、片方を無くしてしまってジュエリーボックスに置き去りにされたピアス。人にあげるわけにも捨てるわけにもいかないような、片方だけのピアス。だが今や時代は、左右マッチしてなくても大丈夫!いや、それが格好いい!というところまで来たのだ。

耳飾りの新たな価値観をもたらしたイヤーカフ。私は約30年ほど前に片方1つずつピアスの穴を開けて今に至る。来年は年女という事もあり、記念にどちらかにもう1つ穴を増やそうかと思案中。

皆様良いお年を!

80年代のアメリカに憧れを抱き、18歳で渡米。読んだエッセイに感銘を受け、宝石鑑定士の資格を取得。訳あって帰国し、現在は宝石(鉱物)の知識を生かし半導体や燃料電池などの翻訳・通訳を生業としている。