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ジェンダーの平等性、地球からの贈りもの〜宝石物語141〜

筆者:金子倫子

賛否両論があった東京オリンピック。この開催に意義があったかどうかは分からないが、大きなイベントを成し遂げたということだけは間違いないのではないか。

オリンピックスドットコムのウェブサイトの記事によると、この度の東京オリンピックは、史上最もジェンダー均衡が取れたオリンピックだとされる。選手の49%が女性。そして競技スケジュールも、視聴しやすい時間帯において男女の差を考慮された革新的なスケジュールになった。そうした指標がジェンダー均衡を示すか否かはさておき、1896年のアテネ・オリンピックでは女性の参加が禁じられていたことを考えれば、進歩していると言える。

しかし、まだまだ驚くような男女を隔てるルールがある。

今回は、ドイツの体操選手がレオタードではなく足首まであるボディースーツで参加というのも話題になった。体の一部に注目した画像や映像がSNSなどで勝手に拡散される事への抗議も含んだ主張。これはルールに反しておらず、すんなり受け入れられたので大きな議論は起こらなかった。

一方、物議を醸したのが、ノルウェーのビーチ・ハンドボール女性チーム。ビキニのボトムを履かなかったため罰金を科せられた。それに対して、米国の女性歌手ピンクが罰金を肩代わりするのを申し出たことも、この議論が広まるきっかけとなった。調べてみると、インターナショナル・ハンドボール・フェデレーションのビーチ・ハンドボールの99ページのルールブックの92ページ目に、はっきりと記してある。女性は「とてもぴったりしていて、足の上部まで上向きの角度にカットされたビキニボトム。横幅は最大で10センチ」という規定。もちろん男性は、膝上10センチのショーツが認められている。

この規定を読めば読むほど、誰が何のためにこの規定を作ったのだ?!、と声を荒げずにはいられない。

体に密着していたり、面積の小さいユニフォームに、女性選手はもう随分と長い間、頭を悩ませていたのだろう。望遠レンズや、今や4Kとか8Kとかの解像度のスクリーン。更にSNSという途方もなく広いプラットフォーム。そこで人は匿名で言いたい放題、写真や動画も加工して投稿し放題となっている。もちろん男性のアスリートでも被害に合っている人はいるだろう。それを考えると、ユニフォームなどの規定も見直しが必要かもしれない。

アスリートが身に着けるジュエリーやアクセサリーに関しては、ほぼ男女差はないように思う。相手との接触があるような競技はジュエリーが認められていないことが多いが、その他の競技は特に規定が無いようだ。

男女問わず、様々な装飾品をつけていて、特にいつも興味深く見つめるのは陸上競技の選手。ネックレスは顔に当たったり、手首にウェイトを付けているのかというぐらいジャらっとブレスレットがはめられていたり。あるハードル選手は、耳からドリートスのチップがぶら下がっているかのような大きなピアスを垂らせて走っていた。ジュエリーよりも驚くのは、短距離選手などの長いカツラやウィーブに代表される髪の装飾品。

あれだけ長ければそれなりの重量があるだろうし、更にその上に花の装飾品を付けたりしているのだ。素人目には、あれがなければもっと早いタイムが出るのでは?などと思ってしまうのだが、そういう話ではないのだろう。

普通の会社員であれば、重要な商談や会議などは勝負服や勝負カラーがあったりする。だがアスリート、特に国を背負ったオリンピックでは好き勝手な恰好が出来ないから、出来る範囲での個性の主張が髪の装飾だったり、アクセサリーなのかもしれない。

金子倫子
80年代のアメリカに憧れを抱き、18歳で渡米。読んだエッセイに感銘を受け、宝石鑑定士の資格を取得。訳あって帰国し、現在は宝石(鉱物)の知識を生かし半導体や燃料電池などの翻訳・通訳を生業としている。