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冷静に行動

新型コロナウイルスの感染拡大が当地をはじめ米国に及び始めた。この1カ月ほど出張が重なり、日々の状況変化で少しずつ仕事にも影響が出始めている。予定もこの数日で大幅に変わった。現場も連日状況に合わせて方針を変更している。

 約1カ月前に移動が重なったときのこと。飛行機に乗る前にマスクを購入しようと思い、出張先の街中で車を走らせて探し回った。だが、どこも売り切れだった。店員に聞けば、「コロナウイルス」が理由で買い占めがあったという。その後、最後に立ち寄った食料品店の中に置いてあったが、当時はまだその街はおろか、空港での着用者を目にすることはなかった。

 感染拡大が当地で始まったその後、念のためにハンドサニタイザーを入手しようと探した。まだ感染者が見つかっていない地域だったが、一般購買客の行動は迅速でほとんどの場所で売り切れだった。

 飛行機はどこも基本的に満席。ところが経由先からシアトル行きの飛行機に乗ると勝手が違った。乗客数は2割にも満たなかった‘のではないだろうか。空港で常に混雑を見せる配車サービスでも人はまばら。運転手も全く仕事にならないとのことだった。再出発では空港に混雑はなく、あらためて現状を理解した。

 各イベントの開催は今後大きく変わってくるだろう。アニメ祭「サクラコン」は、3月3日の段階では予定通り開催されると公式サイトに記されているが、今月に行われる同様の大規模イベントは延期されている。4月にはシアトル桜・日本文化祭も予定されている。

 シアトル・マリナーズは3月26日に地元での開幕戦を迎える。延期や場所の代替案などを示した記事がシアトル・タイムズにも掲載された。開幕戦では球団会長付特別補佐のイチロー氏が始球式を行う予定でいる。サッカーのシアトル・サウンダースは当地で試合を行ったが、女子テニスの大坂なおみが出場予定だったカリフォルニア州の大会は中止された。

 できることは限られている。普段通りの自己管理。手洗いとうがい。個々で基本的な対策をしながら冷静に状況を見詰めるしかない。

         (佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。