Home 食・旅・カルチャー 地球からの贈りもの~宝石物語~ マスクの装い

マスクの装い

経済活動の再開を喜んでいたのもつかのま、コロナウィルスはあっという間にその勢いを増して戻って来てた。抗議活動も経済活動再開もコロナ対策としては避けたいものだが、これらは肉体のサバイバルはもとより、魂というか精神のサバイバル。今私達は、歴史上稀に見る岐路にいるのかもしれない。

ワクチンの開発は、今までの常識を覆す勢いで進んではいるらしい。それを加速させているのは間違いなく富裕層からの多額の寄付であろう。コロナウィルスの影響が長引くにつれ、多額の寄付も増えてきたが、その中でもツイッターのCEOであるジャック・ドーシーは早かった。4月には自身の財産から1ビリオン㌦をコロナウィルス対策に寄付すると発表した。個人や企業の単体からの寄付として最も多額とのこと。

寄付は方向性として大きく二つに分かれている。一つはワクチンや治療薬開発への医療的な用途、もう一つはコロナによる経済活動の抑制による生活困窮者の支援。給付金など政府からの支援金は前借みたいなもので、結局は税金や年金など後からつけが回ってくるのだろう。それを考えると、個人の寄付の方がありがたいと思ってしまうのは経済に疎い私だけの意見だろうか?

日本でも、ユニクロの親会社であるファーストリテイリングの柳井会長兼社長がポケットマネーから100億円の寄付を発表した。コロナに直接と言うよりは、 ノーベル賞受賞者である本庶佑京都大学特別教授のがん免疫療法の研究や山中伸弥教授のiPs 細胞研究へということだ。コロナだけではなく、長期的な人類と病との戦いへの投資と言える。それにしても、元々50億円の寄付を柳井社長に打診したのは、本庶教授だとか。この二人、山口県の同じ高校の出身だそうだ。調べてみると、山口県宇部高等学校は菅直人元副総理大臣や山田洋次監督も輩出している。山口県は、日本の歴代総理大臣経験者62人中8人を輩出している。

話をコロナに戻すと、いまだ特効薬はないが、フェイスマスクとソーシャルディスタンスの有効性は確からしい。アメリカではマスクを着けるか着けないが政治的な色味を帯びてきていたが、副大統領やその他の政府高官もマスクを着けることを国民に訴える事態に至った。前回、コロナ対策とジュエリーの装いに関しての話題に触れたが、今回はフェイスマスク普及による新たな装いについて。

世界恐慌や戦時中も、女性たちは装うことを忘れず、時代に合うべく知恵を絞って来た。今回も、それに違わず。不安や暗い気持ちを一掃するかのように、フェイスマスクの装飾があふれてきた。マスクの素材や柄のみならず、刺繍やラインストーンなどが着いたマスクも登場している。他には、マスクのゴム(紐)の部分に垂れ下がるようなチャームを着けたりするアクセサリーも。チャームは、長いのから一粒パールの様なワンポイントまで多種多様。部分的に耳の後ろに来るようにすると、イヤリングを着けているように見える。有名な某オークションハウスはマスク着用促しの広告に白地のマスクに煌びやかな宝石のブローチを着けていたが、実用的ではないかもしれない。ブローチ自体はそれなりの重量があるし、針の部分の金属が顔に当たるので着け心地はよろしくないだろう。マスク着脱時などの引っかかりや落下は可能性として残るので、使わなくなったチャームや、片方失くしてしまったピアスなど、万が一落として失くしてしまったとしても諦められるジュエリーで装うくらいがちょうど良いかも知れない。ぜひ、インターネットネットなどで「マスクチャーム」や「マスクジュエリー」と検索してみてほしい。もちろん、クラフトショップなどでクリスタルやフック等の材料を揃えてオリジナルを作るのも楽しいだろう。

女性は化粧品でマスクも汚れがちだし、マスクによる肌荒れなど何かと悩みは多い。しかしマスクの効果は事実なのだから、是非この機会を逆手にとって楽しんでしまおう。

80年代のアメリカに憧れを抱き、18歳で渡米。読んだエッセイに感銘を受け、宝石鑑定士の資格を取得。訳あって帰国し、現在は宝石(鉱物)の知識を生かし半導体や燃料電池などの翻訳・通訳を生業としている。