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スポーツ再開視野へ

夏日の週末だった。華氏80度を超えた日曜日、筆者の近所から大きな音楽が流れ、多数の車が路上駐車されていた。時折大声が庭から聞こえてくる。ワシントン州政府はまだ自宅待機命令を続け、当地では友人同士の集まりは自粛されているはず。気持ちの緩みが出ないよう改めて自制を呼びかけたい。

新型コロナウイルスの感染拡大で活動中断を受けるスポーツイベント。菊池雄星、平野佳寿両投手が所属するシアトル・マリナーズをはじめ、大リーグはスプリングトレーニングを3月中旬に中断してから2カ月近くになる。今週初めに7月上旬の開幕を目指すことを含めた計画案が各球団オーナーによって承認され、選手会との協議に向かうという報道が流れた。

中断、もしくは開幕が遅れる米国の主要プロスポーツとしては、総合格闘技を行うUFCが9日に初めて大会を行った。男子ゴルフは来月の再開が予定されている。大リーグもシーズン開幕への道筋が模索されている。

報じられた計画案によると、試合数は約半分、また移動を抑えるために東、中、西の3地区内のみでア・リーグ、ナ・リーグの10チーム同士による対戦が考えられている。シーズン開幕前の準備キャンプは6月中旬からとし、試合は無観客でスタートするという。

ワシントン州は4段階に分けられた再開プランに沿い、州内で徐々に経済活動が始められた。当地を含めた大部分は11日の段階ではフェーズ1で、各段階を上げるのに3週間かかるとしている。公衆衛生が迅速に改善した場合の皮算用として、50人までの集まりが可能となるフェーズ3は早くて6月中旬ころ、大型スポーツ行事が可能なフェーズ4は7月上旬だろうか。大リーグの計画案に見合うスケジュールとなる。

あくまで最優先事項は選手のみならず、周辺スタッフ、関係者の安全と健康で、ワクチンが開発されていない状況を忘れてはいけない。それでも独立記念日にマリナーズが地元でプレーする姿を想像するだけでも、今は十分に前向きな気持ちにさせてくれるだろう。

         (佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。