Home コラム 一石 振り回された2017年

振り回された2017年

2017年を振り返れば、普段の生活は別にして、とにかくさまざまなな話題に振り回された一年だったのではないか。

トランプ大統領の1年目で揺れ動いた政治。メディアが食らいつき積極的に舞台裏を取り上げ続ける。様々な政治家のスキャンダルも告発、暴露された。シアトルではエド・マレー前市長にその刃が向いた。性的虐待、わいせつ行為の告発は様々な業界にも波及した。政治のトップがまとまりを欠き、影響は飛び火したのか各国も振り回された。北朝鮮問題はふつふつと煮えたぎり、太平洋挟んだ東アジアの情勢は不穏なまま、平昌五輪というスポーツの祭典を迎えることになる。

その五輪でもロシアのドーピング問題があり、代表としての参加が禁止された。2014年のソチ冬季五輪での国威発揚という動きに問題があったが、これに振り回される形となったのが、女子フィギュアの女王、エフゲニア・メドベージェワら、若く五輪を夢見てきた選手たちでもある。

さまざまなレベルで振り回された。話題のみを追えば、そう実感する2017年だったのではないか。

さて年末を迎えると、シアトルでは1人の野球選手に一喜 一憂した。投打の二刀流、大谷翔平選手の大リーグ移籍の動向が連日にわたり米スポーツ関連のメディアでにぎわった。マリナーズは獲得へ向けた積極的な動きで、一部では移籍先最有力ともされた。結果は残念だったが、その一連の動向も今年の最たる例となったかもしれない。

2018年。時間をさかのぼってみると、50年前の1968年はベトナム戦争の最中、そしてキング牧師が暗殺された年だった。やや暗くなるが、川端康成が日本初のノーベル文学賞を受賞したりと明るい話題もあった。日系史でみれば、1868年にハワイに初めて日本人労働者が送られた。148人の移住は成功しなかったが、それでも海外移住の先駆けとされた。

同じく150年前は明治元年。日本近代の始まりを告げた年、そして日系移民の先駆けの年。歴史、時代は続くが、次の50年、150年に向けた1年になるのかと胸を馳せている。

(佐々木志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。