Home コラム 一石 シーズン変わり目

シーズン変わり目

By 佐々木志峰

個人的に日本とやり取りをしている中で、「熊野三山・高野山ツアー」に参加、という話を聞いた。紅葉シーズンだ。当地はすでにホリデーシーズンへ一本道。秋の彩を残す木々はわずかに見られるが、多くはすでに落葉している。

少し調べると、紅葉シーズンは日本で最盛期を迎えており、見つけた記事内の写真も色とりどり。残暑が長引いた影響でシーズンの遅れも予測されたようで、日本気象協会によると、12月中旬まで見頃という地域もあるという。筆者に馴染みある場所も含め、そんなに遅くまで続くのかとの印象。日本を離れて久しいが、遠い記憶をさかのぼった。

日本を訪れた外国人数は10月の1カ月でついに2019年のピークを上回り、251万を超えたとある。美しい紅葉を逃すまいと、11月はさらに賑わいを見せているのではないだろうか。

話は変わり、当地の感謝祭は晴天に恵まれた。海を挟んで見えるオリンピック半島は絶景。こちらから見える山々と、青空や海のコントラストも鮮やかだ。

ただ心躍るばかりではいけない。米国海洋大気庁(NOAA)によると、10月は過去174年における地球全体の観測史上で最も温暖な10月となったそうだ。20世紀の平均となる華氏57・1度を2・41度上回ったという。2015年からは0・43度上がった。海面温度は7カ月連続で記録を更新したという。

当地はエルニーニョ現象もあり、冬は温暖な空気が流れ込み、降水、積雪にも影響が出るとされる。地元のテレビ局KOMOによると、11月初めは1944年以来で3番目の降水量があったそうだが、後半に入って晴れが続き、月全体の降水量は実感の通り平均に達しなかった。11月最終週に雨がなかったのは、この79年でわずか4度目という。

早朝は氷点下の寒さも続いた11月末。12月初めは一定量の雨が見込まれる。ただ気温も上がってくるので、山間部の積雪はどうなるか。変わらぬ当地の安定も求めたい性分。鮮やかな晴天も気持ちよいが、雨や鉛色の空を選びたい気持ちにもなる。

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。