Home 食・旅・カルチャー 地球からの贈りもの~宝石物語~ ハリー王子とメーガンさん

ハリー王子とメーガンさん

地球からの贈りもの~宝石物語109~

筆者:金子 倫子

既に一月程経ってしまったが、やはりこの話題に触れておきたい。5月19日に行われた、ハリー王子とメーガン・マークルさんの結婚式。アメリカでは推定3000万人がテレビ中継を見たとか。兄のウィリアム王子の時よりも多かったらしい。

ウィリアム王子の妃であるキャサリン妃のドレスは「最も相応しいドレス」と言われたが、メーガンさんのドレスも同じぐらい「最も相応しいドレス」であろう。無駄な装飾のない、美しいカッティングを強調するシンプルなデザイン。鎖骨が出て、首元のラインがすっきりとしており、花嫁の凛とした感じにぴったり。

ドレスもそうだが、ジュエリーもすっきりとシンプルなものであった。プリンセスの必需品、ダイヤモンドのティアラはメアリー女王の所有していたものだとか。ダイヤモンドのイヤリングとブレスレットはカルティエのもので、ブレスレットは30万㌦でイヤリングは8万㌦ぐらいだ言われている。見る限りでは最近のデザインであるギャロンティ・ドゥ・カルティエのイヤリングにリフレクション・ドゥ・カルティエのブレスレット。王室に代々伝わるものというよりは、報道されているようにハリー王子からのウェディングプレゼントかもしれない。ドレスのネックラインはネックレスが合わないデザインなので、ネックレスはなし。それもあって、耳元は垂れ下がるタイプのイヤリングで華やかさを出すのかと思いきや。中央に大粒の丸いダイヤのあるボタン型のピアス。髪もまとめていたので、シンプルというかちょっと顔周りがさみしい感じもしなくもない。しかし、ドレスの潔いまでのシンプルさやジュエリー遣いを見ると、このシンプルさがメーガンさん自身なんだろうと感じがした。

結婚式で着たウェディングドレスは、ジバンシーのアートディレクターとして初めて女性として就任したクララ・ワイト・ケラーさんのデザイン。しかし、レセプションではステラ・マッカートニー(言わずと知れたポール・マッカートニーの娘)がデザインした、シンプルというキーワードは変わらないが、肩がむき出しになった大胆なもの。これには結婚式で身に着けたブレスレットは身に着けていなかったが、同じシリーズに見受けられる、垂れ下がったデザインのイヤリングを合わせた。右手にはウェディングギフトとしてハリー王子から贈られた、故ダイアナ妃のアクアマリンの大粒のカクテルリング。このアクアマリンは元々ブレスレットとセットらしいが、ブレスレットも贈られたかは不明らしい。

結婚指輪は、伝統であるウェールズ・ゴールドの細いシンプルなバンド。メーガンさんは婚約指輪もイエロー・ゴールド台だからピッタリ。結婚式・レセプションのドレスや選んだジュエリーに、メーガンさんの哲学が浮かぶようだ。シンプル・イズ・ザ・ベストとはまさにこういう事をいうのだろう。

申し分のないメーガンさんに対し、キャサリン妃の装いが外の光では完全に白っぽく見えてしまったこと。まさか義理の姉が花嫁に対抗して白?!としか思えなかったが、教会の中で初めて、帽子の花の黄もドレスコートも薄い黄色だと分かった。白にしか見えないと気づいたときは、時すでに遅しだったのか。それに対してオプラ・ウィンフリーは前日にドレス変更したとか。花嫁のレセプションのドレスを作ったステラ・マッカートニーのピンク色のドレスに急遽変更で、「花嫁以外が白を着ている」という状況を何とか逃れた。

新しいもの、古いもの、借りたもの、青いもの。花嫁に幸せを運んでくれると言われる、ウェディングで身に着けたいこの4点。何と青いものは、メーガンさんが履いていた靴の裏側。某ブランドのあまりにも有名な赤い靴裏の如く、靴の裏側がベビーブルーに一色に染まっていた。シンプルでありながらこの上なくエレガント。メーガンさんのスタイルはこれからも目が離せない。

80年代のアメリカに憧れを抱き、18歳で渡米。読んだエッセイに感銘を受け、宝石鑑定士の資格を取得。訳あって帰国し、現在は宝石(鉱物)の知識を生かし半導体や燃料電池などの翻訳・通訳を生業としている。