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ワクチン接種

 ワシントン州は4月15日から16歳以上の一般住民に新型コロナウイルスのワクチン接種が可能となった。筆者も予約を入れて1度目のワクチン接種を受けた。

 ワクチン接種当日は待つこともなく、しっかりと段取りができていた。会場で予約確認した後に8席ほど用意された接種場所へ。接種を終えると時間が書かれたカードをもらい、一定間隔に椅子が置かれたロビーで15分間待って終了となる。多少不安はあったが、整然とした流れでストレスを感じることもなかった。

 ワシントン州保健局によると、8日の段階で16歳以上の55・54%がワクチン接種に望んでおり、40・46%がワクチン接種を完了したという。シアトル市に限れば、ジェニー・ダーカン市長が4日に16歳以上の接種率が70%を超えたことを明かした。

 予約なしでワクチン接種が可能となる会場も着々と設けられている。大人数が集まるイベント施設もその一つで、サッカーのシアトル・サウンダースは2日、試合会場で観客にワクチン接種の機会を提供した。大リーグのマリナーズも球場で球場でも4日に同様の試みが始まり、初日は約160人が接種した。

 当地では新型コロナウイルスの感染第4波が伝えられる。入院者の平均年齢は昨年の同時期よりも下がり、若者で感染が広がっているとの記事もあった。変異株の存在を含めて、決して気を抜くことはできない。長期出張で米国に滞在する同業者の一人も球場で接種を受けていた。「ワクチンでウイルスに打ち勝ちたい。地元が元通りに戻るために」とダーカン市長は語っていた。

 ワクチン接種当日。時間ごとの予約で駐車場の車が次々に入れ替わる。晴天の一日とともに、社会が大きく蘇る感覚を覚えずにいられなかった。続々とワクチン接種の機会を設け、接種率を高ようとする官民一丸となっての取り組みは、実体験として十分に励まされるものだった。

 まずは感染拡大の防止を第一に——。2度目の接種も間もなくだ。

(佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。