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山火事に備え 〜一石

By 佐々木 志峰

夏を迎えたシアトル。水やりを怠っている芝生が緑色を失い始めている。乾燥、そして高温。山火事の危険性が高まる時期でもある。

6月に入り、米東部がいち早く大気汚染で大きな影響を受けた。ニューヨーク・マンハッタンにワシントンDC。カナダの森林火災で発生した噴煙が流れ込み、大都市の景色がかすむ映像がニュースに流れる。

当地でもこうした光景が毎年のように見られるようになって久しい。思い起こされるのが、新型コロナウイルスの感染者が急激にそ増加した2020年の夏。白くかすむ無観客の球場でシアトル・マリナーズが試合を行っていた。別の日、同様の被害があったサンフランシスコでは試合が中止になったと記憶している。今年は米東部でスポーツ試合などの中止が続々と発表された。

カナダの山火事は5月からすでに深刻な事態となっていたようだ。5月中頃に飛行機の乗り継ぎで立ち寄ったカルガリーで、それを目の当たりにした。飛行機のドアが開けられるとすぐに立ち込める煙の臭い。建物内でも喉に違和感を感じるほどで、咳き込む子どもいた。外で業務を続ける空港従業員に頭が下がる思いだった。

ニュースを見れば、カルガリーの大気レベルは同日で世界最悪に達したとあった。飛行機の窓から、煙で覆われほとんど見えない街を呆然と見下ろしながらシアトルへ。やがて連なる山々で煙がせき止められ、そこからは美しい緑あふれるノースウエストの景色が一気に広がった。

政府組織のNational Interagency Fire Center(NIFC)はこの夏の山火事のリスクを平年より高く予測する。ワシントン州選出のマリア・キャントウェル上院議員も、同州が今夏の山火事被害の中心になる可能性を指摘。7月から9月にかけて深刻な影響が出ることを危惧する。

米国海洋大気庁(NOAA)もノースウエストの6月から8月の気温が例年よりも高くなるとの予測を出した。安全に過ごせる部屋、場所の確保。空気清浄機にマスクの用意も。備えを怠らずにしたい。

小阪 裕司
山口大学人文学部卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年オラクルひと・しくみ研究所を設立。「人の心と行動の科学」を基にした独自のビジネス理論を研究・開発し、2000年からは、その実践企業の会を主宰。現在、全都道府県および北米から千数百社が集う。