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デイ・オブ・リメンブランス

1978年に全米に先駆けてシアトルで開かれ、現在も毎年2月の重要恒例行事として行われているデイ・オブ・リメンブランス(DOR)。第二次世界大戦下における日系人強制退去につながった大統領令9066号を含め、歴史的出来事の記憶と経験を残し続ける活動が続けられている。発令日だった2月19日を前後に、今年も当地日系関係者、団体による行事が計画されている。

州都オリンピアでは州議会がDORについて討議する。シャロン・富子・サントス下議やボブ・ハセガワ上議といった日系議員を中心に毎年議案が出され、地元日系関係者が会議を見守る。

今年は18日を予定しており、午前10時の開会に合わせ、当地から日系市民協会(JACL)シアトル支部のチャーターバスが午前7時半にブレインメモリアル・ユナイテッドメソジスト教会を出発する。参加希望者はtoshikograce@me.com まで連絡とのこと。

またシアトル市でもDORに関する何らかの宣言が出されると耳にしている。

21日には恒例となる太鼓演奏会がシアトル大学で開かれ、地元太鼓団体が参加する壮観なステージ演奏を見ることができる。今年はアラスカの日系移民に関する展示会「Empty Chair」も予定されている。当日の収益は6月に行われるミネドカ収容所跡地へのツアー奨学金プログラムに充てられる。詳しくはカレンダーページへ。

今年初めてのユニークなものは、非営利団体デンショー( 伝承) が行う「DigitalTeach-In」という企画かもしれない。Eメールを登録すると、2月15日から19日までの5日間にわたり、基本的な日系史の歩みを紹介する歴史教材がEメールで送信されてくる。内容は初期移民、強制退去、収容所生活、戦後補償、現在の日系社会といった内容という。詳しくはwww.densho.org/denshoteachiin/ まで。

州議会という政治舞台で厳かに討議される日系人の歴史、また地元関係者の協力により舞台に響く太鼓の根と共にストーリーを共有する機会。今年は新たな試みとしてデジタルが加わる。かつてはワシントン大学でも関連討論会が開かれていた。日系史のターニングポイントの1つを語る行事として、DORは欠かせない。

(佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。