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新たな時代

日本では令和の時代が始まった。

 平成は過去へ。昭和はさらに年代をさかのぼり、以前は「明治」だと考えていた2つ前の元号となった。

 60年以上続いた長い昭和が終わり30年を過ぎていた。筆者が「現代」のものとして見てきた出来事、そして知っている「日本」は歴史の一部となり、新たな時代というものをいよいよ実感し始めている。

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 当地でも2001年からシアトルの顔として活躍したイチロー氏が3月をもってマリナーズから引退。令和の始まりとほぼ同時に、チームのインストラクターとして新たな1歩をスタートさせた。1日には地元のTモバイル・パークに姿を見せた。タコマの地元紙記者によれば、マイナー3Aのタコマ・レイニアーズでは3日の練習に参加し、打撃練習でボールを投げたという。

 令和が始まった日本は大型連休の最中。イチロー氏が活躍した「平成」時代の大型連休中では、日本からシアトルへの旅は1つの定番にもなっていた。昨年はロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手がこの時期に遠征で訪れたこともあり、海外旅行先の1つとして注目されたと記憶している。

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 今年はそうした話は聞かないが、4月30日、5月1日とシカゴ・カブスがシアトルに遠征で訪れた際には驚いた。マリナーズの地元球場に来た観客の多くはカブスファンだった。シアトル観光と野球観戦を兼ねてやってきたのだろうか。いずれにしてもかなりの数だった。

 シアトルは夏に入れば旅行シーズンで賑わいを見せる。4月末にシアトル市議会で市内ライトレール拡張に関する公聴会が行われたようだが、様々な都市を訪れるたび、当地主要地区を結ぶ交通整備の必要性を感じる。

 ニューヨーク、シカゴといった大都市のみならず、ソルトレークシティー、セントルイス、クリーブランドといった街はいずれも数路線の電車を走らせる。訪問者にとって空港を結ぶ便利な交通手段となり、採算ともかく一般住民への足として機能しているようだった。

 シアトルの交通面でも、新たな時代が待たれる。

(佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。