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シアトル市長予備選

大統領選挙から9カ月が過ぎ、新たな出発を見せている米政治に揺れる日々の中、今年も選挙の時期を迎えている。米政権への信任など大きな注目を集める中間選挙は来年。今年は「合間」にあたる静かな一年だが、シアトルに関してはそうはいかない。今後4年の市政を問う市長選を控える。キング郡の行政長官選も行われる。

エド・マレー市長がスキャンダルを受け再選を断念したこともあり、21人が立候補する混戦模様となっている。中心はジェニー・ダーカン元米連邦検事、ボブ・ハセガワ上院議員、ジェシン・ファレル州下院議員、マイク・マギン前市長、弁護士で活動家のニキータ・オリバー候補、都市設計家のキャリー・ムーン候補とされる。来週の8月1日に予備選を迎え、11月7日の本選候補者が絞り込まれる。

経済メディアCNBCがビジネスによい州として全米トップにワシントン州を選ぶなど、その中心となるシアトルの成長は急加速している。しかし、交通、税金、住宅、警察、麻薬、ホームレスといった直面する問題、それに合わせた差別、偏見を含めた潜在する問題は、どこから手を付けて良いかわからないほど山積みだ。近年、市から受けるプレスリリースからの実感として、大きくなる市政府にも不安を覚える。

予備選を前に討論会が頻繁に開かれ、APIコミュニティー団体が主催する討論会は6月22日に和み茶室で行われた。14日付のシアトル・タイムズ紙電子版にもあるが、非営利団体のキング郡連盟(The Municipal League of King County)による候補者評価では、3人が「アウトスタンディング(Outstanding)」の評価を受けた。ハセガワ上院議員もその一人に含まれる。

ハセガワ上院議員はビーコンヒル出身の三世。運送会社の運転手、労働組合の幹部として常に労働者の立場にあった。州政治には04年選挙で初当選、下院、上院議員を歴任し実績は申し分ない。昨年の大統領選挙の民主党候補選ではバーニー・サンダース上院議員を強く支持、「団結」を掛け声に新たなチャレンジに臨んでいる。

前回の市長選ではブルース・ハレル現シアトル市が立候補、予備選で敗退も日系政治家の存在感は地元政治で高まりをみせている。どこまで票を集めるだろうか。

(佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。