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日本訪問

先週号でも紹介したが、毎年海外からの日本訪問者数は右肩上がりに伸びている。昨年は一昨年を大幅に上回り、1900万人を超える記録的な年となった。当地からもさまざまなテーマで日本ツアーが企画されている。

本紙でも7年目となる日本旅行の実施が発表された。すでに予約者があるなど、催行へ向けて順調な様子がうかがえる。ターゲットは三世世代が中心。参加者は日本旅行未経験者が多い。

団体名を新たにした「敬老ノースウエスト」でも、毎年日本旅行が企画されている。関係者の話では、日本文化になじみがあり、日本にも何度も訪れている会員が多いため、ツアー内容に特徴を出す必要があるという。昨年は「食」をテーマとしたグルメツアーだった。今年は日系移民のゆかりの地を巡るという。四国や中国地方が行き先となる。

こうした地元団体の日本旅行では、各ツアーが対象者向けに内容を組んでいるので面白い。例えば地元県人会がそれぞれの県を訪れるツアーになれば、独自のネットワークによる団体ならではの企画を作ることができる。各自治体機関への親善訪問も含まれる。一般旅行では「行かない、行けない」場所を訪れることができる。

各週コミュニティー団体の新年会が開かれているなか、福島県人会の新年会に出席した。そこでは昨年夏にあった県人会主催の日本旅行、福島訪問の報告会も行われていた。

企画担当のパツィー・ヤマダ( 山田)さんによると、福島を縁とする知人を介し、訪問先などは独自に計画されたものという。いわゆる福島の「観光地」という場所も含まれているが、普通のツアーパッケージでは組まれない場所も多い。東日本大震災の津波被災地、福島県庁ももちろん訪問先となっている。

興味深かったのは、その報告の内容以上に、写真の多くに強い興味を向ける出席者たちだった。もちろん福島の現状もあるだろう。だが高齢な二世の出席者が多い中、三世の中には「これは(日本に)行かなければ」と話す関係者もいた。

数は多くないかもしれないが、確かなターゲットとして、日本の地方がアピールできる対象者はこの地にいるようだ。

(佐々木 志峰)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。