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休日のソーシャルディスタンシング

肌寒い日が続いた先週から暖かさが戻り始めた。晴天とはいかなかったが、気温が戻った日曜日。久しぶりに街の様子を伺おうと車を走らせてみた。「不要不急」ではなく、車外に出ることはしなかったが、不測の事態が起きれば言い訳はできない。

向かう先はシアトルダウンタウン。

フリーウェイの交通渋滞に悩むこともなくあっという間に高層ビルが眼前に迫ってきた。レイクユニオンから出てシアトルセンター方面へ。車を持たない人々だろうか、自転車や徒歩で食料品店に向かう人々を見かける。スペースニードルを抜けてウォーターフロントへ向かうと、変わらず走り続ける長い貨物列車に行く手を遮られた。踏切に車が並び、人が集まる。マスクを付ける人、付けない人とさまざまだが、道が開けると明るい表情で気持ちよさげに歩を進める様子が見られた。

そのまま南下。次はレイクワシントン方面へ向かう。途中でインターナショナル・ディストリクトを通過する。日曜午後早くながら、ほとんど人影がない。普段であれば週末の飲茶など賑わいを見せるのだろうが、人がいないと逆に不気味さが漂う。リトルサイゴンに咲く桜の美しさが恐ろしいほど際立った。

レイクワシントン湖畔まで来ると、雰囲気は変わった。普段ほどではないだろうが、他所に比べて人が多い。スワード公園などワシントン湖畔の駐車場はどこも一杯。湖畔の小道を歩き、走り、自転車を進める人々が多く見られた。ソーシャルディスタンシングに気を使いつつ、やはり集まる場所に人はやって来るようだ。

新型コロナウイルスの感染拡大でワシントン州は気が付けば感染者数で全米10番目ほどとなった。地元メディアによると、感染者数の伸びに落ち着きが見られ始めているという。

先週、米政府はこの1、2週間の覚悟を市民に求めた。ワシントン州政府の自宅待機命令は5月4日に延長された。食料品店に向かうと、ソーシャルディスタンシングに気を付ける人もいれば、まったく気にしない人もいる。ピークとなってからの過ごし方も、我々の向かう先を決めるカギとなる。

         (佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。