Home コラム 一石 ノーマン・ミネタ氏

ノーマン・ミネタ氏

 イベント数日後の12日に88歳の米寿を迎えるミネタ氏。筆者にとって連邦議員を50年以上務めた故ダニエル・イノウエ氏とともに政界における日系の2大巨頭だった。

 2人と顔を合わせる機会があったのは本紙の仕事を通じてのことで、当時は政治キャリアの晩年か引退後という時期だった。2人の印象はそれぞれ違い、当時議員職にあった故イノウエ氏は笑顔の中にも目に鋭さが感じられた。政界から引退していたミネタ氏は温和な表情が印象に残る。当地で2013年に開催された全米日系人博物館の全米会議といった機会に日本語も交えながら接してもらった。

 本紙先週号で掲載されたミネタ氏のインタビューではシアトルの思い出、盟友アラン・シンプソン元上院議員、第二次世界大戦の日系人収容所政策について米政府が謝罪、補償した「市民の自由法」成立などの背景について語っていた。現在のコミュニティーに対するアドバイスも印象深かった。

 かつては選挙に積極的に出て自らの声をアピールするよう勧めてきたミネタ氏。その一方で、一般的に政治家への夢を抱く、あるいは目標とする割合は人口の1.2%という。政界への道を選ばない人口98、99%の人々には、キャリアを通じて国に貢献することを第一とし、またボランティアなどを通じて声を代弁する公職と携わりを保つことが大切と語った。

 今週初めには2019年度の選挙を迎えた。2020年の大統領選挙向けて自治体、州もまた大きな1年を迎える。主要メディアから分かる通り政治的分断が近年は大きく見られ、その傾向は選挙の動きも絡んで一層顕著になることが予想される。ミネタ氏の語る関わりの大切さを心に留め、この1年を見守りたい。

          (佐々木 志峰)