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日本の外交

日本と韓国は昨年末、両外相が長年の課題となってきた慰安婦問題について、共同声明を発表した。内容の論議はともかく、政治、国際問題ともなってきた問題での決着を見ることができたとの見方が多いようだ。

昨年の安倍晋三内閣による外交政策に関する世論調査が11月から12月に行われた。「地球儀を俯瞰する外交」として海外各国を訪れている安倍首相の外交について、評価できるの回答者は74・4%になり、前回、前々回の50%中頃から飛躍的に向上した。

調査は日本在住の20歳以上千人が対象ということで、当地からとはまた視点が異なるかもしれないが、そのほかの複数回答式の回答による統計は次のようになった。

近年大きな話題、課題に上がる日中韓における関係については、協力体制を推進する分野として、「青少年交流」、「環境」、「テロ対策、サイバー問題、気候変動などのグローバルな課題」の3点が約80%ずつとなった。

環境問題、教育・文化交流に力を入れるべきとの回答がいずれの質問でも多い。一方、東アジア地域を取り巻く安全保障環境には厳しい目が向けられており、状況が厳しさを増しているとの回答者は、前回の約73%を上回り、約82%に達した。

主に中南米を対象とはいえ、日系人との協力分野においては、「人的交流」、「日本文化の普及」、「経済協力」といった回答がそれぞれ約80%となった。

日米関係においては、米国政界で長年の理解者だったダニエル・イノウエ連邦上議が死去して以来のパイプ作りが課題とされてきたが、今週に入り、地元代表のジム・マクダーモット下議が引退を発表した。1989年以来14期を務め、その間には日本を40回にわたり訪れるなど日本に近い存在で、昨年は日本政府から旭日重光章を受けている。

筆者にとっては、日系社会、特に二世復員軍人会とのつながりが印象深いが、当選当初の貿易摩擦の背景もあり、対日理解に深くかかわり、日米の国会議員の橋渡し役として活躍したとある。日米関係に欠かせない一人といえるかもしれない。

故イノウエ上議ほどではないが、少なからず外交面で影響はあるかもしれない。今は米日カウンシルなどが活躍しているが、そうした中で新たな「橋づくり」も欠かせないだろう。

(佐々木 志峰)

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。