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宝塚歌劇団OGシアトル公演 『ワールド・オブ・ドリーム』12月開催

兵庫県宝塚市に本拠地を置く宝塚歌劇団。演じるのは未婚の女性のみという世界でも類を見ないスタイルで、1914年の初公演以来、数多くの観客をとりこにしてきた。この冬、宝塚歌劇団のOGによる58年ぶりのシアトル公演が行われる。

宝塚といえば、通称「ヅカファン」と呼ばれるディープなファンを連想する人も多いだろう。ファンの間で数々の「掟」が生まれ、一種独特とも言える文化を築いてきた宝塚が今、日本独自のポップカルチャーとして海外で高い評価を得ている。つまり、世界中にヅカファンが存在する。

「コスプレや漫画がきっかけで日本文化に興味を持った海外の若者層が、宝塚を知ってファンになるんです」と話すのは、今回の公演のプロデューサーを務める宝塚市出身のフラワー咲子さん。同公演が実現したのは、海外のヅカファンたちの支えも大きかったという。オンラインを中心にコミュニティーを作り熱心に活動する彼らは、シアトルでの公演が決まると、率先してFacebookページやウェブサイト、チラシをボランティアで制作した。「協力してくれたファンの方々や今回演じる宝塚のOGなど、関係者たちの思いはただ一つ。宝塚の魅力を一人でも多くの人に知ってもらうことです」

演目は『ベルサイユのばら』をはじめとした往年の大ヒット作の名シーンや名曲をつなげたエチュード形式。日本舞踊やタンゴなど、宝塚ならではの華やかでバラエティーに富んだパフォーマンスも。上演は日本語だが英語のナレーションが入る予定で、ショーが始まる前にはファンクラブ会員による宝塚のレクチャーが行われる。これまで宝塚を見たことがない人にも楽しんでもらうのが狙いだ。

今回はるばる日本からやって来るタカラジェンヌ4名は、かつて宝塚の第一線で活躍していたOGたち。彼女たちへのインタビュー動画を、海外のヅカファンたちが運営するポッドキャスト番組「Takarazuka Revue Fan Podcast」(www.caithion.net/takarazukapodcast)で見ることができる。日本で生まれ、今や世界中に広まる宝塚の文化。日本人としてぜひこの目で見てほしい。

(小村侑子)

58年前の北米報知記事より(抜粋)
1959年の宝塚歌劇団シアトル公演については、当時の北米報知新聞でも複数号に渡って関連記事を多く掲載していた。上の写真は、天津乙女さんはじめとする宝塚ガールズがシアトル市内見物をした旨を伝える8月19日号の紙面。日本国領事主催のブッシュ・ガーデンでの歓迎夕食会で撮影された写真や、公演の盛況ぶりを伝える記事が残っている。「宝塚ガールズの演技に対する評価は大変よく、英字誌も筆をそろえて賞賛している。昨夜は約3千人の観衆を集めたが、今後日を追うに従ってさらに増加すると期待される」「宝塚ガールズは来沙以来の洋食攻めで、日本食、とくにご飯を恋しがっていたが、すでにまねき亭からお弁当を贈ったということ」など、当時の盛況ぶりが伺える。

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。