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キング郡のメトロバスがニュー・フライヤー社から電池充電式バス120台を購入へ

キング郡のダウ・コンスタンティン長官は1月30日、メトロで充電式バス120台を段階的に購入すると発表した。そのうち40台は2021年に運行が開始され、2022年秋には80台が追加導入される予定だ。いずれも製造元はニュー・フライヤー・オブ・アメリカ社。この決定により、大気環境の改善と二酸化炭素の抑制を目指すキング郡の取り組みが、大きく前進することとなった。

技術開発に向けたキング郡およびメトロからの呼びかけを受け、ニュー・フライヤー社は1度の充電でおよそ140マイル(約225キロメートル)の走行が可能な長距離バスを開発。バスの値段は、車種により約92.5万ドルまたは130万ドルで、120台では総額1億3,000万ドルになる見込みだ。ニュー・フライヤー社のクリス・ストッダート社長は、「2040年までにメトロバスの完全ゼロエミッション化を達成するという目標に、私たちはまた一歩近付きました」と述べている。

「新型バスの導入には、地球環境の改善だけでなく、地域の方々にも利点があります。運行はキング郡全域ですが、特に大気汚染の深刻な郡南部では、こうしたクリーンエネルギーを動力とする静音設計の省エネ型バスを導入するメリットが大きいでしょう」と、コンスタンティン長官。キング郡では、2016年から充電式バスを運行している。さまざまな試験や評価を経て、一時は他社のバスを検討したものの、全長60フィートの連結バスが開発されなかった。一方、ニュー・フライヤー社はメトロ側の求める仕様の開発を期限内に達成した。メトロは引き続き、複数メーカーの車両試験を行っている。

メトロのゼネラルマネジャー、ロブ・ギャノン氏は、「キング郡に住む何十万という人たちが、毎日の移動に車ではなくメトロを利用しており、それだけで排気ガスの抑制になります。新型バスの導入は、炭素排出量のさらなる削減につながるでしょう」との見解を示した。バスの購入に当たり、メトロは2,000万ドルの助成金を得ている。    

  (シュレーゲル希伊子)

フリーランス翻訳家・通訳。外務省派遣員として、92年から95年まで在シアトル日本国総領事館に勤務。日本へ帰国後は、政党本部や米国大使館で外交政策の調査やスピーチ原稿の執筆を担当。キヤノン元社長の個人秘書などを経て、国連大学の持続可能な社会の構築をめざす産官学イニシアティブに従事。2014年からシアトルへ戻り、日本語イマージョン小学校に通う一人娘を育てながら、 ITから文芸まで幅広い分野の翻訳をてがける。主な訳書は、金持ち父さんのアドバイザーシリーズ『資産はタックスフリーで作る』トム・ホイールライト著(筑摩書房)など。ワシントン州の他に、マサチューセッツ、ジョージア、ニューヨーク、インディアナ、フロリダなどに居住し、米国社会に精通。趣味はテニス、スキー、料理、読書。