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IDでアジア系市民が襲撃されるヘイトクライムとの見方も

IDでアジア系市民が襲撃されるヘイトクライムとの見方も

2月25日、インターナショナル・ディストリクト(ID)で日系アメリカ人が暴行を受ける事件が発生した。被害者はノースショア学区で教師を務める女性 。通りを歩いていたところ、男が突然、殴りかかってきたという。顔面に大けがを負い、ハーバービュー・メディカルセンターで治療を受けた。一緒に歩いていた交際相手の白人男性も頭部を激しく殴打され、「明らかに殺意を感じた」と述べている。

容疑者は41歳の男で、3月4日、シアトル警察により逮捕されている。動機は明らかにされていないが、ヘイトクライムの可能性も排除できないとして、シアトル警察では引き続き捜査を続ける。

キング郡検察局の発表によると、2020年に起訴したヘイトクライムの件数は59年に上り、2019年の39件から20件増加している。2021年の起訴件数は、現時点で7件(そのうち、太平洋諸島系を含むアジア系の被害者は2人)。

シアトル警察のエイドリアン・ディアス署長は昨年より増加傾向にあるアジア系住民を標的としたヘイトクライムに警鐘を鳴らしている。シアトル警察では、200言語以上の通訳を介して通報を受け付けており、もし被害を受けた場合は英語を話せなくても躊躇なく200通報をして欲しいと呼びかけている。

(シュレーゲル 京 希伊子)

フリーランス翻訳家・通訳。外務省派遣員として、92年から95年まで在シアトル日本国総領事館に勤務。日本へ帰国後は、政党本部や米国大使館で外交政策の調査やスピーチ原稿の執筆を担当。キヤノン元社長の個人秘書などを経て、国連大学の持続可能な社会の構築をめざす産官学イニシアティブに従事。2014年からシアトルへ戻り、日本語イマージョン小学校に通う一人娘を育てながら、 ITから文芸まで幅広い分野の翻訳をてがける。主な訳書は、金持ち父さんのアドバイザーシリーズ『資産はタックスフリーで作る』トム・ホイールライト著(筑摩書房)など。ワシントン州の他に、マサチューセッツ、ジョージア、ニューヨーク、インディアナ、フロリダなどに居住し、米国社会に精通。趣味はテニス、スキー、料理、読書。