Home コラム 一石 シアトルでオールスター戦

シアトルでオールスター戦

 8月末、シアトル・マリナーズ本拠地のTモバイル・パークで懐かしい日系関係者と偶然再会した。母親が亡くなり、大ファンだったマリナーズの試合観戦へ友人同士で集まり、当時を偲んでいたそうだ。試合中、偶然にも筆者の近くに飛んできたファウルボールを手渡すと、「とてもいい思い出になる」と喜んでもらえた。

 1世紀を超える当地日系社会で深く根付いてきたスポーツといえば、真っ先に野球が挙がる。筆者が編集部にいた際も、その歴史や熱意を様々な行事を通じて感じることができた。

 先週、2023年のオールスター戦をシアトルで開催することが発表された。正式発表の会見場はシアトルセンター。祭典の招致には行政関係者も加わっての一大プロジェクトだったようだ。シアトル開催は3度目となる。

 前回は20年前の2001年。マリナーズからイチロー氏や佐々木主浩氏ら8選手が出場。元マリナーズのランディー・ジョンソン氏からイチロー氏が俊足を飛ばして内野安打。佐々木氏が試合の最後をしっかりと締めた。球団会長付特別補佐を現在務めるイチロー氏は大リーグ1年目のシーズン。マリナーズは大リーグ記録に並ぶ116勝を挙げ、当時のセーフコフィールドは毎試合超満員となった。

 球宴開催はチームにとって大きな発奮材料となる。今年は各チームから一人出場する代表枠で菊池雄星投手が唯一選出された。2年後の地元開催でそうはいかない。01年当時のようにスターを育て、またチームの躍進も求められる。

 マリナーズは今年早々に問題発言の騒動で球団社長(当時)が辞任。その後、新たにビジネス面を担当する新社長を迎え入れた。23年の球宴も一つの軸として、今後はチームの人気回復へさまざま手が打たれるだろう。

 スポンサー次第でもあるが、今年耳にしていないジャパンナイト関連の開催もあるだろうか。縁深い野球と日系社会のつながりが再び築かれていくことを期待したい。

(佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。