Home コラム 招客招福の法則 第39回 続けることは素晴...

第39回 続けることは素晴らしい

私が主宰するワクワク系マーケティング実践会(このコラムでお伝えしている商売の理論と実践手法を実践する、企業とビジネスパーソンの会)には会員歴が10年を越える方が少なくないが、先日そんなお一人に感心したことがあった。

当会には「エントリー」と呼ばれる実践した内容の報告制度がある。自社が実践した内容をレポートのように報告するもので、形式は問わない。もちろん義務ではないし、忙しい中でレポートを書くのも楽ではないが、これには「外化」というメリットがある。人は外化することで自分の行ったことを客観視でき、往々にして、問題点や行ったときには気づかなかった落ち度、次への改善点などを見つけられるのである。

そこで彼だが、彼は長年の当会会員、食品製造卸・小売業を営んでおり、先日他の会員さんにもご紹介した昨年秋の実践は、小売り業の方のお月見団子販売における実践だった。それまでもワクワク系で販売実績を伸ばして来た彼だったが、昨年のそれはさらにバージョンアップした。

まずは事前の告知を周到に行った。昨年まではお月見直前の10日間でチラシなどを準備していたが、この年は9月から告知を徹底させていった。(最近ではお月見そのものを忘れているお客さんも少なくない)

さらに取り組んだのが、イベント性を高めることだった。店頭に、前から温めていたアイデア「うさぎさんになって撮影してみよう!」コーナーとして店頭にちょっとしたステージをしつらえ、頭につけるうさぎの耳を用意して、撮影イベントを同時開催したのだ。これにはお客さんも好反応。親子仲睦まじくうさぎの耳をつけ写真を撮る姿を見て彼は、「お月見団子を作って(商売していて)本当によかったなあ」としみじみ思ったとのこと。ちなみに売上も、伸ばして来た前年をさらに2割以上上回る好結果であった。

ところで、そんな彼のことで、最近驚くことがあった。当会の会報誌には会員さんたちのたくさんのエントリーが私の解説付きで載っており、それを題材に誌面で「あなたも考えてみよう!」という投げかけを幾つかしているのだが、彼はそれにずっと応え、当会に投稿を送り続けて来た。それもひと月も途切れずに。それが見事、連続投稿100回を突破したのであった。

こういう行いが何を生み出すだろう。専門家としてひとつ言えば、それは彼の脳の変容を生み出し、商いにおけるアイデアと実践につながる。それが今回のような成果を生む元となる。しかし何事も続けることは難しい。いいと思ったことを続けられるかどうか。ある意味、人はそこで底力を試されるのではないだろうか。

筆者紹介小阪裕司:山口大学人文学部卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年オラクルひと・しくみ研究所を設立。「人の心と行動の科学」を基にした独自のビジネス理論を研究・開発し、2000年からは、 その実践企業の会を主宰。現在、全都道府県および北米から千数百社が集う。

山口大学人文学部卒業後、大手小売業、広告代理店を経て、1992年オラクルひと・しくみ研究所を設立。「人の心と行動の科学」を基にした独自のビジネス理論を研究・開発し、2000年からは、その実践企業の会を主宰。現在、全都道府県および北米から千数百社が集う。