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本紙の活版印刷機を発見 アナコスタの活版印刷博物館が保管

1980年代まで本紙出版に使用されていた活版印刷機が、100字ほどの活字版と共に、当時のままの姿でアナコスタの活版印刷博物館(http://letterpressmuseum.org)に保管されていることが分かった。

1990年に北米報知社が、当時はシアトル市内に所在していた同博物館へ譲り渡したもので、同館が新たな引き取り先を探している。770キログラム程もあり、まだ実際に動かすことも可能だ。ウィング・ルーク博物館やワシントン州日本文化会館(JCCCW)へ譲る可能性も検討中だが、まだ決まっていない。なお、アナコスタの活版印刷博物館は、同紙英語欄につかわれた英語の活版印刷機も保管している。

この印刷機はおそらく、戦前の北米報知社経営者らが日本からシアトルへ輸入したものを思われる。漢字やカタカナなどを含める多様な字種を扱う日本語の活版印刷機と活字版が、どのような経緯でいつ北米報知社へ運ばれたかなど、同紙編集部でこれから調べていきたい。活版印刷は、DTP(デスクトップパブリッシング)と呼ばれるコンピューターによる印刷工程が一般化した1990年代まで、新聞や本の出版に使用されてきた。現在でも、その手作り感を求めて、あえてこの古い技術での印刷をするアーティストや愛好家が多くいる。

この印刷機を、博物館で展示するだけではなく、実際に動かして何かしらの形で利用するアイディアも含めて、今後の可能性を検討中だ。同活版印刷機についての調査ボランティアや、印刷機の引き受けに興味のある読者は、編集部まで問い合わせを(community@napost.com)。

*詳細は、英語欄をご覧ください。

北米報知は、ワシントン州シアトルで英語及び日本語で地元シアトルの時事ニュースや日系コミュニティーの話題を発信する新聞。1902年に創刊した「北米時事 (North American Times)」を前身とし、第二次世界大戦後に強制収容から引き上げた日系アメリカ人によって「北米報知(North American Post)」として再刊された。現存する邦字新聞として北米最古の歴史を誇る。1950年以前の記事は、ワシントン大学と北米報知財団との共同プロジェクトからデジタル化され、デジタル・アーカイブとして閲覧が可能(https://content.lib.washington.edu/nikkeiweb/index.html)。