令和4年5月23 日、岸田文雄内閣総理大臣は、訪日中のジョセフ・バイデン・アメリカ合衆国大統領と、日米首脳会談を行いました。また、6月27 日、G7 エルマウ・サミットに出席するためドイツを訪問中の岸田総理大臣は、同大統領と短時間、日米首脳会談を行いました。それらの概要を北米報知の読者の皆様へお伝えいたします。アメリカ合衆国在住の皆様におかれましては、両国の友好関係が一層強化されていくよう、引き続きお力添えをお願い申し上げます。
日米首脳会談
【5月23日の首脳会談】
冒頭、岸田総理大臣から、今回のバイデン大統領の訪日は、米国がいかなる状況にあってもインド太平洋地域にコミットし続けることを示すものであり、心から歓迎する旨述べました。これに対し、バイデン大統領から、大統領として初めて訪日でき嬉しく思う、日本側のおもてなしに心から感謝する、今回の訪日を通じて、米国のインド太平洋地域への揺るぎないコミットメントを示していきたい旨述べました。
両首脳は、ロシアによるウクライナ侵略が国際秩序の根幹を揺るがす中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を断固として守り抜く必要性を改めて確認しました。その上で、両首脳は、欧州で進行中の危機のいかんにかかわらず、インド太平洋地域こそがグローバルな平和、安全及び繁栄にとって極めて重要であるとの認識の下、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、基本的価値を共有する同盟国である日米が国際社会を主導し、引き続き豪州、インド、ASEAN、欧州、カナダ等の同志国と緊密に連携していくことで一致しました。この関連で、両首脳は、24日の日米豪印首脳会合において、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、様々な実践的協力の進捗を確認し、更に推進していくことで一致しました。
〈地域情勢について〉
両首脳は、ロシアによるウクライナ侵略について、引き続きG7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、対露制裁措置を講じつつウクライナ支援を進めていくことを改めて確認しました。また、両首脳は、今回の侵略のような力による一方的な現状変更の試みをいかなる地域においても許してはならず、その試みには重大なコストが伴うことを明確に示していくことが重要との認識で一致しました。さらに、両首脳は、今回の侵略によりいかなる国にも誤った教訓を与えず、また機会が訪れたと誤信させぬよう、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致しました。そして、岸田総理大臣から、インド太平洋地域を含む国際社会の連帯に向け、日本が各国に積極的に働きかけていることを説明し、バイデン大統領から、日本の取組を高く評価するとともに、米国も引き続き国際社会に対して結束を訴えていく旨述べました。
両首脳は、ウクライナ情勢がインド太平洋地域に及ぼし得る影響について議論し最近の中露両国による共同軍事演習等の動向を注視していくことで一致しました。また、両首脳は、東シナ海や南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや経済的威圧に強く反対し、香港情勢や新疆ウイグル自治区の人権状況を深刻に懸念するとともに、中国をめぐる諸課題への対応に当たり、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致しました。さらに、両首脳は、台湾に関する両国の基本的な立場に変更はないことを確認し、国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促しました。
そして、両首脳は、中国と対話を継続し、共通の諸課題については協力していくことで一致しました。
両首脳は、ICBM級弾道ミサイルの発射を始めとする北朝鮮による核・ミサイル開発活動を非難した上で、安保理決議に沿った朝鮮半島の完全な非核化へのコミットメントを再確認し、北朝鮮に対してこれらの決議の下での義務に従うことを求めました。また、岸田総理大臣から、バイデン大統領が拉致被害者の御家族と面会することに謝意を伝えつつ、拉致問題の即時解決に向けた全面的な理解と協力を改めて求め、バイデン大統領から、一層の支持を得ました。
両首脳は、韓国新政権の発足を歓迎するとともに、安全保障協力を含む日米韓の三か国協力を一層強化していくことで一致しました。
両首脳は、イラン核合意をめぐる情勢についても議論し、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致しました。
〈日米同盟の強化について〉
両首脳は、地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力・対処力を早急に強化していくことで一致しました。バイデン大統領から、日本の防衛へのコミットメントが改めて表明され、両首脳は、今後も拡大抑止が揺るぎないものであり続けることを確保するため、閣僚レベルも含め、日米間で一層緊密な意思疎通を行っていくことで一致しました。また、両首脳は、尖閣諸島に対する日本の長きにわたる施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対することを改めて表明しました。さらに、岸田総理大臣から、日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意を表明し、バイデン大統領から、これに対する強い支持を得た上で、両首脳は、日米の能力の相乗効果を最大化し、日米同盟の優位性を将来にわたって堅持するため、宇宙・サイバーの領域や先進技術の分野を含め、日米間の安全保障・防衛協力を拡大・深化させていくことで一致しました。そして、両首脳は、沖縄を始めとする地元の負担軽減の観点から、普天間飛行場の固定化を避けるための唯一の解決策である辺野古への移設を含め、在日米軍再編を着実に推進することで一致しました。
〈経済政策における日米間の協力について〉
両首脳は、地域の経済秩序への米国の関与がますます重要となっているとの認識を共有した上で、バイデン大統領から、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の立上げを表
明し、岸田総理大臣から、IPEFとその立上げに係るバイデン大統領のリーダーシップを評価し、日本として参加・協力する旨述べつつ、戦略的な観点から、米国のTPP復帰を促しました。また、両首脳は、日米両国の競争力・強靱性の強化のため、「日
米競争力・強靱性(コア)パートナーシップ」の下、がん研究や宇宙等の分野において引き続き協力していくとともに、最先端半導体の開発を含む、経済安全保障の確保に向けた協力を強化していくことで一致しました。さらに、両首脳は、ロシアによるウクライナ侵略により、エネルギー・食料をめぐる状況が大きく悪化している中、G7や国際機関と緊密に連携して対応していくことで一致しました。こうした議論を更に掘り下げるため、両首脳は、1月のテレビ会談の際に立上げに合意した、閣僚レベルの日米経済政策協議委員会(経済版「2+2」)を本年7月に開催することで一致しました。そして、岸田総理大臣の進める「新しい資本主義」に関し、バイデン大統領から、改めて力強い支持が示され、岸田総理大臣から、中間層重視の政策を掲げるバイデン大統領と協力して、主要国に共通する経済政策の大きな潮流を作っていきたい旨述べました。
〈地球規模課題について〉
岸田総理大臣から、国際社会の平和と安全に主要な責任を負う安保理を含む、国連の改革と強化の必要性について述べ、バイデン大統領から、同意するとともに、改革された安保理において日本が常任理事国になることを支持する旨述べました。
両首脳は、安全保障上の課題に適切に対処しつつ、核軍縮・不拡散に関する現実的・実効的な取組を進め、「核兵器のない世界」に向け日米で共に取り組
んでいくことで一致しました。
両首脳は、国際保健や気候変動、人権・民主主義の保護・促進等への対応についても議論し、引き続き日米で国際社会の取組を主導していくことで一致しました。
〈人的交流の促進、2023年の広島でのG7サミット等について〉
両首脳は、ポスト・コロナに向けて各種交流事業を再開させ、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた人材育成や交流や更なる日系人の参画を含め、日米間の揺るぎない絆を支える重層的な人的交流を促進していくことで一致しました。
両首脳は、今回の会談の成果として、日米首脳共同声明「自由で開かれた国際秩序の強化」を発出しました。この声明は、現下の国際情勢やインド太平洋地域の戦略的重要性を踏まえた、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・発展を目指す日米の共同戦略を示すものです。
日本が2023年にG7議長国を務めることに議論が及び、岸田総理大臣から、G7として平和へのコミットメントを示す上で、広島ほどふさわしい場所はないという考え下、G7サミットの開催地を決定したことを紹介し、両首脳は、2023年の広島でのG7サミットの成功に向け、共に取り組んでいくことを確認しました。両首脳は、様々な機会を通じて意思疎通を継続し、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。
【6月27日の首脳会談】
岸田総理大臣から、5月のバイデン大統領の訪日の意義に言及した上で、両首脳は、日米同盟の更なる強化及び「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。
両首脳は、7月に開催予定の閣僚級の日米経済政策協議委員会(経済版「2+2」)の成功に向け協力していくことで一致しました。
両首脳は、ロシアによるウクライナ侵略に対し、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。この関連で、両首脳は、プライスキャップ等石油価格高騰への対応についても議論しました。
日本国政府(写真提供・内閣広報室)
より詳しい情報は、首相官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/)、外務省ホーム
ページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj/)をご覧ください。
また、日本政府の政策や日本の魅力について、英文の日本政府公式ホームページ「JapanGov」(http://www.japan.go.jp)や、英文オンライン・マガジン「HIGHLIGHTING Japan」( 和文も掲載。https://www.gov-online.go.jp/eng/publicity/book/hlj/index.
html) もご参照ください。この記事に関するご意見・ご感想は下記までお寄せください。 内閣府大臣官房政府広報室
Public Relations Office, Cabinet Office, Government of Japan
E-mail: g.kaigai@cao.go.jp