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いろいろな備え〜一石

By 佐々木 志峰

夏日が一気に通り過ぎ、快適な気温で過ごせるようになったシアトル。一方日本からは「暑い、暑い」との連絡が届く。それもそのはずで、*関東地方で摂氏40度近くを記録する地域が続出するなど、「酷暑」が続いている。摂氏40度は華氏にすると約105度近くになる。シアトルで数年前に経験したあの暑さだ。久しく日本の夏を経験していないが、実際に体感してみるとどのようなものだろうか。
*8月中旬時点

この10年、20年を振り返ると、以前と比較にならない頻度で熱中症のリスクが伝えられるようになった。米国でも熱中症の死者数が増加しているとロイター通信の記事で見た。「シアトルでエアコンは必要ないでしょう」――。過去にはそれが常識であった当地でも、前述の「ヒートドーム」現象以来、生活環境は一変している。

異常な暑さによって乾かされた土壌が原因の一つとも言われ、近年夏の大きな問題となっているものに山火事がある。気が付けば外出のたびに空の色を見る習性がついてしまった。地元テレビ局KING5によると、ノースウエストでは3つの山火事が秋になるまで続く見込みだそうだ。先月にカナダへ出張に行った街では1年前に大きな山火事被害があり、当時の鼻をつく煙の臭いと空の色の記憶が鮮明によみがえった。

今月8日、九州南部でマグニチュード7.1の地震が発生した。日本の気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」と呼ばれる巨大地震注意を発表。特定期間で大地震が発生することを伝えるものではないが、防災の備えの確認を呼び掛けた。

その翌日には神奈川県でも地震が発生した。マグニチュード5.3。震度5弱で、同地でこの規模の揺れは2021年10月以来とされる。国土面積を考えると、日本での大きな揺れの発生頻度はただ驚きというしかない。

それらに先駆け、カリフォルニア州でもマグニチュード5.2の揺れが発生。ワシントン州太平洋沿岸にも断層が走り、「大地震の備えは必要」なのは分かってはいるものの、気が付けば日々の生活ですぐに忘れてしまう。

たまたま部屋の整理で備えのバックパックを廊下に引っ張り出した。元の場所に片付けながら、そんな当たり前の言葉を頭に叩き込んだ。