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JRレールパス最後の旅行 4日目「盛岡と米沢白布温泉」

JRが海外旅行者むけに売ってきた「乗り放題レールパス」が、2017年の3月をもって、日本国籍の海外在住者には購入できないことになった。このレールパスをこれまで何度も使ってきた私は、3月前のギリギリに最後のレースパス購入をして、4月に一週間旅行をしてきた。東京の自宅を拠点に、京都、森岡、栃木県足利、飛騨を巡った7日間の旅を7週に渡ってレポートしたい。

4日目「盛岡と米沢白布温泉」

白布(しらぶ)温泉で目覚めると、昨夜からの粉雪がまだ舞っていた。雪が舞うなかをバスで米沢駅まで戻る。米沢からの帰路、途中駅の郡山から磐越西線に乗車してみることにした。磐越西線は、郡山から会津若松を通り、まっすぐ北上して日本海に面する新潟まで行くJRのローカル線。ずいぶん前のことだが、これに乗ったときに車窓からの風景をいたく気に入り、これまで何度も思いだしてきた。のどかに広がる畑、その向こうに控える山並みを背景にした農家とその庭。それらが車中から手の届きそうな距離にあった。もう一度その景色を見たいと思った。ただ、その景色が会津若松駅の手前だったか、その先だったか覚えていない。磐越西線は、合図若松より先は本数が激減するのだ。記憶があいまいで調べようがないまま電車に乗る。
そもそもは、会津若松の先の裏磐梯高原のどこかで下車し、そこから五色沼のあたりまでバスに乗り、途中で少し歩こうと思って乗車した。前日に米沢駅の観光案内で磐越西線とバスの時刻表を見比べて、それが可能であることを確かめてある。しかし、天候は散策が楽しめるようなものではない。こちらの体調もいまひとつというところ。結局、会津若松まで行き、同じ路線を引き返すという芸のないことをする羽目になった。
そもそも「車窓の景色を楽しむ」という目的を持って電車に乗る人などまれだし、福島から新潟へ行くならもっと早い方法がある。電車はガラ空きだ。会津若松駅より先の本数の少なさに苦情を呈するわけにはいかない。事実、こういう地方の路線はかなり前から赤字続きで、廃止されないだけでもありがたいのだ。最近は、ツアーではない日本観光をするのは困難になっている。郡山へもどる車中では、立ち上がって手足の軽い運動をした。それほど車中は空いていた。
(田中幸子)