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佐々江大使、シアトル訪問 日系人「日米友好のベース」 日本とワ州で協力覚書署名

佐々江賢一郎駐米大使が今月末にシアトルを訪問。地元有識者との会合、コミュニティーとの交流会や州政府関係者との日米関係に関する協定締結といった一連行事に出席した。

佐々江大使は 27 日に全米アジア研究所( National Bureau of Asian Research )での基調講演、会議に出席。また28 日には ワシントン州と経済及び貿易関係に関する覚書に署名した。地元日系社会関係者は 27 日にNVC記念会館で歓迎会を開き、大使の訪問を歓迎し た。

日系社会で歓迎会

佐々江大使の公的 なシアトル訪問は2012年の着任後初めてとなる。ワ州日米協会によるコミュニティーレセプションでは、過去に当地を訪れたエピソードを紹介しながら、「家に帰ってきたような感覚。シアトルに戻ってくることができて本当に嬉しい」と述べた。

日系社会へは「多くの苦難の道を乗り越えてきた日系人の方々には本当に長い闘いの歴史があり、その上に日米間の友好と現在の素晴らしい関係があると感じます」と敬意を示し た。第二次世界大戦 終戦から 70 年にわたり築かれてきた日米の友好関係についても、「ベースには多くの日系人の努力と苦労があったことを忘れてはいけないと思っています」と語った。

あいさつ後にはテレビ局KING5のローリ・マツカワさんとともにステージに上がり、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、サイバーセキュリティー、 沖縄の米軍基地問題、 移民問題など多岐にわたる日米問題について語った。

佐々江大使は質疑応答後、出席者1人、1人と歓談。暖かなもてなしに笑顔を見せた。当日司会を担当したテイ・ヨシタニさんは「日米関係は大変重要。大使が日米関係についてどう考えているのか知ることができてよかった」と語った。

同歓迎会は日系コミュニティーネットワーク(NCN)の各日系団体も協力。 NCNによる行事としては、藤崎一郎前駐米大使歓迎会、海上自衛隊、マリナーズ関係者との交流会などが開かれている。当日はNCNによるマリナーズの青木宣親選手歓迎会も合わせて行われる予定だったが、22 日のマイナーリーグ降格とカリフォルニア遠征で同席はかなわな かった。

日本政府、州政府と協定、ワ州は2州目

佐々江大使とジェイ・インスリー州知事は 28日、ワ州商務省事務所で日本政府とワシントン州による経済及び貿易関係に関する協力覚書に署名した。国と州政府によるユニークな ものとなる。ワ州は米国ではカリフォルニア州に続き2州目。 気候変動、エネルギー、航空宇宙、生命科学、情報通信技術、農業及び高付加価値林防災、物流、学術協力、貿易及び 投資など、様々な分野において支援協力体制を促進する。

関連提携では三重県がワシントン州との地方産業連携を進める上での覚書を締結している。ワシントン州は 50 年以上にわたる兵庫県との姉妹州関係を含め、長い歴史的関係のなか で日本との人的、文化的交流は盛んに行われている。日本はもっとも重要な貿易相手国の1つで、主要進出企業も成功を収めている。

インスリー知事は日本との貿易は60 億 ㌦規模に及び、州内で3万3千の雇用に寄与していると説明。 日本製ジェット機の開発を進める三菱航空機は北米開発拠点を当地に置き、モーゼスレイクで試験飛行を9月に開始、また富士化学工業による抗酸化物質アスタキサンチン関連品の北米開発拠点投資先ということもあり、太平洋を挟んだ両地で大きな経済活動がある点を強調した。

佐々江大使もシアトルを中心に大小企業が日本に進出していることを踏まえ、「ワシントン州が日米の成長をけん引していってほしい」と今後も相互効果が望まれる形での関係促進 に期待した。

日本政府とワ州の関係協力覚書に関する内容は本紙3面へ。

(佐々木 志峰, 竹田 優香)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。