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マリナーズ

夏のシーズンを終え、あっという間に9月に入った。地元の日系マーケットでは松茸が販売され始め、秋の装いが一気に深まっていく。

 シアトル・マリナーズの今シーズンも残り1カ月。本拠地Tモバイル・パークでの試合も中旬と下旬にある12試合を残すのみとなった。

 8月末にシアトルで行われたヤンキース戦。かつては満員近い入りの人気試合だったが、3試合ともに観客数は2万5千人に達しなかった。地元プロスポーツへの関心はシーホークス一色となり、マリナーズの低迷を改めて感じざるを得なかった。その前のシリーズで行われたブルージェイズ戦では相手の完全な「地元試合」。同じくリーグ下位ながら、カナダから大挙してファンが訪れる伝統行事として連日3万人以上を集めた。

 一抹のさみしさを覚えたヤンキース戦だったが、日本サイドからすれば大注目。マリナーズの菊池雄星投手とヤンキースの田中将大投手の投げ合いが27日の試合で行われたからだ。結果は田中投手が貫禄の投球で勝利をつかみ、日本投手としては前人未到となる大リーグでの6年連続10勝以上を記録した。

 両投手の対戦が決まった際に話題となったのが、菊池投手の田中投手へのあこがれだった。日本では接点がなかったが、菊池投手は北海道の高校に通い全国の舞台で活躍する田中投手に大きな影響を受けたという。

 北国の高校でも全国に通用する―。田中投手の活躍を受けて、当時中学生だった菊池投手は地元岩手の花巻東高校を選び、その活躍が後に同じ岩手出身で現エンゼルスの大谷翔平選手を引き寄せた。今は3人それぞれが大リーグの舞台に立つ時代となった。

 シアトルでは7月に菊池投手と大谷選手の対戦があり、今、田中投手と菊池投手の投げ合いが終わった。次のマリナーズで注目されるのが、9月13日から3日間の「イチロー・ウィークエンド」。今年3月で引退したイチロー氏の大リーグへの貢献を顕彰する。14日にはマリナーズからイチロー氏に特別表彰が贈られる。

 時代が移り変わる中で、新たな世代がまた刺激を受け、目標となる進路を見つけ出していくのだろう。

     (佐々木 志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。