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マリナーズ菊池

新年早々、菊池雄星投手のシアトル・マリナーズ移籍という明るいニュースがもたらされた。報道によると、選手、チーム、それぞれが契約のオプションを持ち、最大7年間まで延長できる。

「いちばん必要としてくれていると感じた」と言うようにチーム側の熱意があったのだろう。また日本から大リーグ移籍した投手が故障を発生させることの多かった過去を配慮し、菊池投手の順応を優先した起用法を計画しているとも伝えられる。数年先の成功を目指すチーム側を含め、お互いの求めるものが最も合ったのがマリナーズだったのだろう。

コミュニティーも毎年恒例のジャパンナイトに向けて力が入るだろう。菊池投手はロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手と同じ花巻東高校卒で先輩に当たる。エンゼルスとはシアトルでの試合は開幕直後の4月1日から2試合。その後は5月30日から4試合、7月19日から3試合。またニューヨーク・ヤンキースとは8月26日から3試合が組まれている。

1998年から最低日本選手1人を選手枠に抱えてきたマリナーズ。この関係は実に20年になる。当地日系社会が誇る「新たな顔」として、菊池投手の雄姿を少しでも長く見られることを期待したい。

これまで故障リハビリのシーズンを含め7年にわたり、当地日系社会の顔となってきた岩隈久志投手は移籍当初、「シアトルは仙台に似た雰囲気がある」と話していた。日本の楽天時代に活躍した仙台の街と比べていたのだが、このノースウエストの街が持つ独特の雰囲気を気に入っていたようだった。東北出身の菊池投手にも同じように当地を感じ取ってもらいたい。

この週末には冬の嵐として過去最大の風速となる暴風がシアトルを襲い広範囲にわたり被害をもたらした。幸い、やるべきことを終えた菊池投手はすでに機上にあり日本に帰国。

冬ながら美しいノースウエストの正月晴れで菊池投手を迎えたシアトル。当地日系社会にとっても幸先も幸先良い1年のスタートを切った。明るい1年となることを願っている。

(佐々木志峰)

オレゴン大学でジャーナリズムを学んだ後、2005年に北米報知入社。2010年から2017年にかけて北米報知編集長を務める。現在も北米報知へ「一石」執筆を続ける。